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2019/09/15 19:14

ここ最近の傾向でいくと大手さんではお布団の価格が安くなり
軽くて扱いやすくさらに「洗える」という布団をお使いの方が多く
実際のところはこのポリエステルわたの布団(合繊布団)をお使いの方が
相当いらっしゃるのではないでしょうか。
言うなれば簡単に捨てられる低価格の布団というものに
各メーカー力を入れて開発に乗り出しています。
「綿の布団で寝ています」と言われていた方が
実際に帰って見てみるとこの合繊布団だった・・・
ということもありますね。

前にも少し書きましたが、中でも羽毛布団のことについては
何がどう違うのか何を使っているのかさっぱり・・・
という方がほとんど。お話を聞くと
「実家から持ってきたもの。」
「結婚の際に買ってもらったものだから。」
という方が多く、何のお布団なのかさえ興味もない・・・
布団屋からするとちょっと残念なコメントが続いたりします。。
しかし、これは売り手にも問題がありますから仕方がないことです。

こういった現状がありますから、合繊布団のように
簡単に羽毛布団を捨てる方もあるのではないかと想像しています。
特に破れたり、中身が吹き出したり、ニオイがきつかったりと
長年使った羽毛についてはトラブルが多いと思います。
毎シーズン欠かさず使っていればクリーニングをかけていただきながら
使用したとしても状態の良いもので10年〜15年程が布団の表地の寿命です。
汗や汚れがついたままのお布団ではもっと寿命は縮んでしまいます。

そこでようやくお話するのが羽毛布団リフォームです。
やはり15〜20年ほどお使いの羽毛をお持ち込みいただくことが多いのですが
ちょうどその年代は羽毛が超高額だったところから後ろに少しずれており、
逆に言えばいろんな産地からいろんなランクの羽毛が出回った時代でもあります。
その為お買い上げになった金額にも差があり、そもそもラベルが読み取れず
金額もわからず、これは一体なんなのか・・・というケースも多いです。

破れていてもリフォームは可能ですので一度お持ちになって
中身や状態を見させていただければどの程度の内容で
お直しさせていただくべきかの判断をさせていただきます。



この夏にリフォームの工場に行き直接見学してきましたので
その様子も交えながらリフォームについてご説明させていただきます。
当店が契約するリフォーム工場は3つ。その中の一つに行ってきました。
どの工場も遠方です。なぜかというと羽毛は洗浄する「水」が一番大切。
綺麗な水が出る山間部に工場のあるケースが多いです。
もちろん街中で仕立てるものもありますが、名水が湧き出るエリアに
工場を建てているメーカーと直接契約を行っています。

①全国から集まった羽毛布団。訪れた時はまだまだ暑かったので
 これからどんどん増えて倉庫一杯になるとおっしゃっていました。
 ここではお客様の情報と中身状態の確認を行い、取り違いが起こらないように
 ラベリングをしていく作業になります。



②ようやく布団を解体。1枚1枚丁寧に解体を行い
 他のお布団と一緒にならないように職人の手で羽毛の回収を行います。
 傷んだ側生地はここで破いてしまいますので代わりに新しいものを仕立てます。



③吸引機で吸い取った羽毛は工場のパイプの中を巡って直接洗濯機へ。
 ここで綺麗になるまでゆっくり洗います。アレルギーの原因となるダニや
 そのダニのフン、さらにはダニの餌になる人間の汗・皮脂などが取り除かれます。
 乾燥するまでは羽毛はぺったんこのままです。





④羽毛専用の乾燥機に通し、足し羽毛として300g分の新しい羽毛も
 ブレンドしていきます。おおよそシングルサイズで1/5程度の羽毛量を戻してから
 逆に悪くなった羽毛は取り除いていきます。
 ファイバーと呼ばれる羽毛の軸が千切れたもの、ダウンの絡まったものは
 ここで取り除かれます。





⑤新しい側生地を仕立てていきます。ここもすべて手作業です。
 当店はすべて日本製の側生地ですので海外生産の側生地は使用しません。
 ポリエステル混の生地もすべて綿100%になりますから
 ものによっては柔らかくて軽い、新品以上の使い心地になって帰ってきます。



⑥元通りになった羽毛を新しい側生地に戻していきます。
 この工程も機械ではできないので一区画ごとに決められた量を
 一つ一つ充填していきます。



⑦仕上げ・検品を経て皆様のお手元にお戻しします。
 期間はおおよそ1ヶ月。この9月は増税前という事もあり、
 工場はかなり大変そうです。



仕上がりの違いを見てください。
右はリフォーム前
左がリフォーム後
です。


ふっくら加減も違いますが、一番は羽毛の汚れでしょう。
どうしても使った方の汗・皮脂・汚れなどで黄色く変色します。
これにはダニやハウスダストの一因も含まれており、
よほど健康的とは言えない環境になります。

どうしても同じものの比較ができなかったのであるものを撮影しましたが
実は右の羽毛はかなり良いものです。
良質なグースダウンで生地もシルクが混ざってました。
左は一般的なダックダウンでしたので、この差があってもこれだけの変化があります。
手で押し込んでみても復元性もかなり違いが出ていました。

羽毛は人間の眠りに必要な環境を生み出してくれる良質な素材です。
そして「羽毛は命」です。
水鳥の命を頂いてできているものですので
ぜひ長く大切にお使いいただければと思います。
いつかクリーニングについてもお話差し上げますが、
クリーニングもお伺いも可能です。ご連絡ください。

いつも長文にお付き合いいただきありがとうございます。

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