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2019/10/09 17:38

「本当に体にあった寝具」とはなんなのでしょうか?

すごくぼんやりしているテーマですが、
この事を説明できる方は少ないのではないかと思います。

本当は別テーマでアップするところでしたが、数年前と状況は変わらず
寝具のイメージについてやはり変わっていない現状と
より攻勢を仕掛けるある商品群に対して
急遽ですが「低反発ウレタンマットレス」についてお話をしていきます。
個人的にはあまり他社やある一定の商品を批判するのは好きではないのですが
最近の現状を見て店主は落胆しております。

先日お客様のオーダーメイド枕を作成させて頂いている際に
必ずお使いの寝具をお聞きするので、いつもの様にお伺いをしておりました。
一般的なポリエステルの敷布団の上に低反発のマットレスを重ねてお使いの方。
腰痛がひどく、横になって睡眠姿勢になると頭痛も始まるという症状。
いびき・無呼吸・途中覚醒で毎日の睡眠時間は4時間。
夜中の3時に必ず起きてしまうという方。
かなりお疲れになっている様で、毎日の睡眠が辛いという方でした。

まずは睡眠時の姿勢について寝具の専門用語を一切使わずにご説明します。
一般的には直立した状態が筋肉をバランス良く使える状態であり、
頭部の重さを背骨とその周りの筋肉に分散させている事になるので
この姿勢のまま仰向けになることが睡眠時の理想の姿勢と言えます。



しかし仰向けのままでは同じ筋肉が酷使されますから
人間は一晩に20〜30回の寝返りを行います。
これは意識がある際には背伸びしたり、ストレッチをしたりという行動と同じで
意識が無い睡眠中おいては同じことは出来ませんから、
寝返りという方法で筋肉の負担を軽減させていきます。



寝返りは蒸れを取る(人は水蒸気を無意識に嫌がる)ということもありますが
「蒸れ」については最後にお話しします。

最初のケースの方に当てはめていきましょう。
何と言っても「低反発のマットレス」・・・
TVや通販などでよく見かけますよね。



なぜこの10年、20年変わらず低反発が寝具の主流に入るのか。
答えは「コストが安く、クレームが少ない」から。
その他にも理由はありますが、主な理由はこれだと私は考えています。
ユーザーはヘタったことも気付きにくい素材性質もあるので
長期間使用ができ、メーカーもクレームの心配が少ないという
売り手の扱いやすさがあります。

低反発ウレタンは主にアジア圏で生産され海運にて日本に入ります。
寝具は大物ですからその輸送費がネックになります。
低反発の良いところは何と言っても耐久性でしょう。
真空圧縮にも耐え、復元率も高いものなので圧縮梱包にはもってこい。
まず運輸コストを安く抑えることが出来ます。

他のウレタンは長期間の真空圧縮で復元しないこともあるので
そのリスクを避けるためにも他のウレタンマットレスほど国内生産が多く、
海外輸入が少なくなるという運輸コストの現実があります。

よくTV通販などで見ると思いますが、体圧分散のデータグラフ。
「これを敷くと赤く圧がかかっているところが無くなりましたね」
っと1度は見た事のあるシーンではないでしょうか?
このデータはやってみると分かるのですが、
柔らかいものを敷けば大抵良い結果が得られた様に見せることができます。
*メーカーも分かってやっています。

敷布団を何枚も重ねれば同じ様な結果がでます。
要は体が密着していればいるほど良い数値が出る。というわけです。



それにプラスして包まれた様な気持ちのいい感触。
特に女性の方は感覚が鋭く、柔らかい寝具を好む方が多いです。
1度気持ちが良いと感じてしまえば長期間使用する事になりますよね。

名前の漢字を見てみましょう。
「低反発」=反発性が低い=支える機能がない
という事です。
よく考えれば分かるのですが、体を支える力がなければ
腰痛などの痛みををお持ちの方が使える寝具ではないのです。
各寝具専門店が低反発を置かない理由はここにあります。

当てはまら無いものもあるのでウレタンマットレスを
あまり高反発・低反発と分類したく無いのですが
一般的にはそういったご説明がわかりやすいのであえて使います。



日本はコイルマットレス文化が先行し、80年代から90年代にかけ
布団からマットレス(ベッド文化)への移行期がありました。
当時売られていたマットレスのほとんどは固く、耐久性を重視するものが殆ど。
固くて寝れないので「敷布団をマットレスの上に敷く」という、
変えたはずの寝具がまさか新しい寝具の上にくるという矛盾を抱えた環境を生み出します。
該当がマットレス使用者の6割に及んでいるというアンケート結果もありました。

その中で華々しいデビューを飾ったのが低反発のマットレストッパーです。
中空構造であるマットレスは冬寒く、金属の冷たさが伝わってしまうこともあり
元々遮熱性が高いウレタンマットレスはこの面から見ても適材適所だった訳です。
今でも寝具の中のジャンルの一つと言っていい程になっていますね。
現在のコイルマットレスの上位機種ではコイル層の上に
このウレタンや他の素材が積層されているマットレスが主です。

寝具を使う上で人間の体の重さが集中する場所は「腰」になります。
柔らかいものを敷けば体が「くの字」になって腰が沈みますから、
お尻部分に圧が集中し、特に腰痛お持ちの方は悪化してしまいます。



寝返りの問題もそうです。沈んだところから体を横にしようとすると
より多くの力が必要になりますし、若い方であれば大丈夫ですが
お年を召した方にとっては当たり前にできていた寝返りが
マットレスのせいでできなくなり、その他の部位にまで
痛み・痺れが及ぶという状況をかなり見てきました。

立ったままの寝姿勢に合わせるという原理の説明方法は低反発も一緒です。
女の人が横になっているイラスト・画像をどこかで見たことがあると思います。
隙間が埋まっているので体圧分散して体が楽になるというもの。
横になった状態で、湾曲している人間の体の隙間を
「支えて寝具から合わせにいくか」「沈ませて体から合わせにいくか」
この違いがあります。
当店のマットレスはほぼ前者です。



そしてあのTVのイラストには腰の重みが描かれていません。
どの部位も同じ重さであるかの様に説明をされているのです。
そんな人間は一人もいないのに。。
この2つは大きく違いますので寝具をお買い替えになる際は
これを理解していただきお買い上げください。
枕も同じです。寝返りを促進する枕ではありません。

もう一つついでに。。
低反発ウレタンは水分を通しません。
これは低反発に限ったことではないですが、
発泡ウレタンは膜の張った小さい風船の集まりです。
膜同士が邪魔をして水蒸気が通る隙間が全くありません。
要は「蒸れる」という事です。
途中覚醒などの症状に多いのはこの水蒸気のコントロールが出来ていない。
もしくは寝返りが何かの原因で阻害されていることで
汗をかいた部分が乾かず、脳は不快と判断をして
覚醒に向かってしまうということが起こります。

一般的にウレタンは上か下に水分を吸うものを用意してあげるのが最善です。
できれば上下ともですし、できなければ上だけでもコットン・ウールの様な
天然繊維を敷いてあげて余分な水蒸気を吸ってもらうことが重要なのです。

ウレタンは水を通さないのではないか?
なのに下に必要なのか、、
とお考えになった方はかなり鋭いです。
ウレタンマットレスの中には通気するものもあります。
まず一つはオープンセル(爆破・無膜)と呼ばれる
発泡中に膜を吹き飛ばしてしまうやり方と
後加工により特殊カットや穴あけなどの通気性をあげる技術によって
水蒸気や汗を下に逃す事も出来ます。


↑オープンセルウレタン



↑特殊カットのウレタン

残念ながらこれはある程度高価なウレタンマットレスのみに使われる
素材、加工ですのでお値段も高くはなります。
無膜の低反発ウレタンもありますが、一般的なものの倍以上になり
コストが高いのでトップ層に使用するのみで
寝具全体に使用するものはあまり見かけません。
通気だけであれば網状のポリエチレン製寝具の方が
安くなりますので、ブレスエアー、エアウィーブをはじめとする
網状構造の寝具が登場するという訳です。
↑この寝具について聞かれる事が非常に多いです。
またいつかお話しさせていただきます。
当店では扱いません。

よく言われることが
「ウレタンって食器洗うスポンジでしょ?」
「なんでこれがこんなに高いの?」
いや、当然の疑問です。
答えは「密度」
見た目には分かりませんが触れば大体の密度は分かります。
要は原材料を詰めているかいないかで
耐久性と体圧分散性は変わると言うことです。
価格もそれに比例します。

毎度色んな話に飛び火しますが、要は
特に睡眠にリスクを抱えたまま低反発をお使いの方は要注意です。
一概に全てのことを否定している訳ではなく、
リスクのある方が使って改善するポイントがほぼ無い寝具です。
気持ち良さそうと思われるのは当然。怖いのは使った数日後です。

お若い方やリスクのない方、スポーツなどで良質の筋肉をお持ちの方は
そのままでも大丈夫です。
寝具って不思議なもので、痛みやリスクを抱えないと解らないもの・・・
多くのケースで不満をお持ちの方にしか伝わらないものなのです。

寝具の見直しのご相談はいつでもお受けできます。
特定の寝具を買わずともできることはありますから
ご相談をいただければと思います。

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