前回のブログではイワタ商品の製造工程について荒く書いていきました。
今回はその中でもラクダの敷布団についてお話ししていきます。
羽毛布団の製造ラインからは少し離れたところに建てられた工場は
原料加工から製品になるまで同じ工場の中で生産されています。
まずはラクダの毛について少しお話ししておくと
1本の繊維の中に何本もパイプを持ったような構造で
多孔性の繊維をもっており、吸湿放湿面で実用獣毛の内では
最高の動物性繊維と言えます。
一時代前にはキャメル生地なども流通していましたが貴重で高価な
素材であることと、ウールなども含んだ動物性繊維の需要が
激減している背景もありエルメスなどのハイブランドが使用するのみです。
特に表面のキューティクルが滑らかで、空気層を多く持つ構造から
上に寝たときの寝心地は独特の滑りと弾力性があり、
天然繊維の中でも体圧分散能力を持っています。
人間の筋肉と近い弾力性をもっていると言われています。
ラクダの毛同士が絡みにくく、縮絨しにくい性質もあるので
耐久性も高く、打ち直しを続けていけば一生使っていただける程です。
特に優れているのはウールの1.6倍という吸放湿性。
汗っかきの男性が寝ても蒸れず、また乾燥状態になった際には
水分を補ってくれますから、自動で加湿・除湿を行ってくれる
敷布団とお考えいただければいいかと思います。
モンゴルの砂漠で育つフタコブラクダの毛を使用しています。
過酷な環境下で生き抜くための繊維として知られており、
夏期は40℃・冬期は−40℃と気温差が大きい環境で育ちます。
その為獣毛でありながら1年を通して使用することができる素材です。
ちなみにラクダの毛は刈り取るのではなく、抜け落ちた束を拾って
集めていく事からラクダへの負担もない素材となります。
↓輸入されたままの原料
↓荷ほどきされた状態
まずは原料の状態からイオン化特殊技術により
殺菌・防臭・漂白を行います。機械の撮影はできませんでしたが
簡単にご説明すると高電圧でイオンを発生させ、
それが毛に付着することで元々持っている静電気を無効化し
匂いや汚れを取るイワタだけの技術だそうです。
なぜそんなコストのかかる大掛かりな機械を入れるかというと
薬品や蛍光増白剤を付着させてしまうと
エコテックスの規格を通らなくなってしまうことが一つと、
元々の繊維が持っている機能を100%引き出す為に
洗剤で水洗いせずに汚れや匂いを落とす必要があったからです。
*エコテックスについて詳しくお知りになりたい方は
こちら
ラクダを取り扱い始めた際の先代が試行錯誤のうえ特注で作製した
世界に1台だけの機械でシートの状態にされます。
その際に人が寝ても大丈夫な程、柔らかく積層していきます。
↓原料との違いは一目瞭然
↓シート状にしたもの
↓これを重ねていきます。
↓全体のバランスを整えます。
↓シートを何枚も積み重ねたのちステッチをかけヘムと呼ばれる
枠部分を縫製して出来上がります。画像は4kgのヘビータイプ。
生地はエジプト綿のみで出来上がったオックスフォード地です。
生地は熱加工による目詰めプレス加工をかけてあります。
*生地1本1本の繊維の隙間を無くす技術
これは樹脂や不織布の加工なしにダニの侵入を防ぎ、同時にラクダ毛の吹出しも防ぎます。
水に濡れると即吸収する加工もかかっており、中のラクダ毛に水分を吸わせて
早く表面を乾燥させるという機能を持たせています。
使用しているのはコットンとラクダの毛のみ。
残留薬剤・金属・発ガン性物質などのチェックもクリアしており
余計なものはありません。赤ちゃんから安心して使っていただけます。
イワタの根源的なモノ作りは人が使う上での最善を常に考え
素材・生地の理解から始まっています。
悪なき探求心が桁外れな訳ですが、
私がおそらくここで何を書こうとも製品を見ていただいて、
体験して感じていただく方が決定的に早いと感じます。
現在寝具体験レンタルの事も考えています。
ルール設定や商品調達に時間がかかる為、すぐにとはいきませんが
なかなか店舗まで行けないという方に向けて進展しています。
今しばらくお待ち下さい。