いつか書きたかったテーマではありますし、
昨日開店当初から取り扱いのあったFIT LABOシリーズもアップした事から
「寝具の西川」についてお話ししたいと思います。
大きくは4社
・西川産業(東京西川)
・西川リビング(大阪西川)
・京都西川
・昭和西川
実は関連会社はまだまだあるのですが、実質は4社と言われます。
それぞれに会社の性質や考え方も様々。
元が一緒なのに企業体質がここまで違うのか・・・
と内部の方と関わる様になって思ったことは興味深く、
自ら西川を掘り下げる動力になりました。
企業自体は450年続く老舗中の老舗。
1970年代から現代の寝具の歴史をリードし、
発展し続けた企業である事には間違いがありませんし、
今でも私はそうだと思っています。
実際は殆どの方がよく知らないと思います。
私も話を聞かされるまでは
失礼ながら西川を何とも思っていませんでしたから・・・
当然のことと思って読んでいただければ良いと思います。
ニュースなどでご覧になったかも知れませんが2019年2月1日に
西川産業・西川リビング・京都西川が合併しました。
もう1社、昭和西川は合併に加わっていません。
そこはまた追々。
現社長が元西川産業の社長に就任してしばらくすると、
いつかは合併。どのタイミングでそうなるのかなど
水面下では3社が協議を続けていたものと思われます。
それを知らなかった小売店には衝撃が走ったことでしょう。
原因としては「売り上げの減少」
より強固な・・・などと聞きますが、実際はこれでしょう。
古くから実績のある寝具のみを製造するメーカーは
どこも窮地に立たされています。
単純な人口減という事は日本中の企業で同じですが、
やはりニトリ・イケア・無印良品など量販店と
ジャパネットや楽天市場内のネット販売業者の拡大によって
シェアを奪われ、より専門的であったり、華美な寝具の需要が減り、
売れなくなってきている。という事が背景にあるのだと思います。
おそらくですが一般的に寝具を布団屋で買うという世代は
私たちの親世代で止まっており、店頭でお話しを聞いていても
実店舗のある3社の名前は必ず出てきます。
商品開発をしていた際には商品をサンプルとして3社の商品を購入し、
切ったり裂いたり、、工場に持ち込んでは製品のクオリティを確認し、
同価格帯ではそこに負けない商品作りに注力していました。
同じ様に西川4社それぞれに商品部の方々と打ち合わせを
重ねながら商品開発をしていたこともあり
この経験が後の私の人生に大きく関わってくることにもなります。
一般的な西川のイメージからお話ししていくと
西川製 = 「なんとなく高級で良いもの」
ただ詳しく聞くと実際はよく知らないという方がほとんどだと思います。
80年代からは綿に代わる素材開発や
「睡眠」についての研究、オーダーメイド枕など
どんどんと世に出て行くわけですが、大きくなれば当然
「飯の種」になる商品もやらなくてはいけない。
婚礼布団が面白い様に売れた時代もあると聞きますし、
海外生産の寝具の拡販にも大きく寄与したわけです。
そこで当時はこんな事が当然として起こります。
「西川離れ」
これは消費者からでは無く、当時仕入れをしていた
小売店・チェーン店からだったのではないかと思います。
「昔は質の良い寝具だけを作っていた会社が
手のひらを返した様に安価な製品も作っている。」
どこでも良くある話だと思います。
今では2000名の従業員を抱える企業にまで成長してしまった訳です。
そうなると私は仕方ないと思うのですが、
店頭で見かける物は安い毛布・敷きパッド。
その中で専門的な商品は変わらずとも小さく見えてしまいます。
*これも西川内において企業差があるので一概には言えません。
寝具業界の中では「NO西川」という小売店さんがいらっしゃるようです。
私も地方の布団屋を見させていただいている際にやはりこの様な寝具店がある事を知りました。
当然のことだと思います。私もそうですが、工場と直でやりとりが出来る様になれば、
物によりますが、こだわった素材の寝具という物が出来てしまう環境にあります。
そこを盾にして彼らの事を批判しても土俵が違うので本来は比べられない訳です。
彼らには700億円を超える売り上げとその責任を抱えて大小様々な物作りをしています。
社内には「この方は必ずしも布団でなくとも良いのだろう」という方もいますし
頑固一徹の生産畑から出てこられた重役の方もいらっしゃいます。
若手においても寝具業界の未来を見据え、日々勉強に励み
遠方の店舗や工場なども熱心に話を聞いて回る社員もいます。
大きくなれば必然で、色んな方が存在してしまう集団になります。
「集団を率いるための理念」企業色というのもより濃い物になってしまいますし
過去の栄光に胡座をかいてきた方も少なからずいらっしゃったのだと思います。
ただ今どうなのか?
を私は彼らとのやりとりの中で見てきました。
そんな上から物を言うわけではないですが、
逆に彼らにしか出来ない物作りという事があります。
当店で取り扱うFIT LABOのマットレスは私だけではまず生産できませんし
質の高いクオリティでこの価格内に納めてくる企業努力はすごいと感じています。
数あるウレタンマットレスからなぜこれなのかと言えば
見渡した中で彼らの商品が一番生き生きしていたからだと思っています。
現在既にもっと売れている他の商品群もおそらくは扱えるのだと思うのですが、
私はこれ以上商品を増やすつもりもなければ、チェーンに参加することもないと思います。
またこんな事を書けば誤解を生むかも知れませんが、、
ただ私の様に代々布団屋ではない、しかも会社を立ち上げたばかりの
社会上何の保証もない人間によく西川製品を扱わせてくれたなと
今では感謝するばかりですが、これまで関わってきた商品部の方々や
それをがんばって店頭に説明して回る営業部の方々。
そしてなにより工場で一生懸命商品を作っていただいている生産の方々。
私が西川製品を取り扱い出来る様に内部で色々と動いていただいたり
その後も「やりたい物だけやる」というスタンスに一定のご理解をいただき
会社の方針を無視していただいている方の上にこの店舗が成り立っています。
これが西川を扱う理由と西川に対しての正直な感想です。
彼らの商売の根源は近江商人にあり、
「三方よし」
という言葉が存在します。気になる方はぜひ調べてください。
この店舗と私の理念でもあります。
現代のビジネスの中で見えなくなっている、
むしろこれを見てしまうと効率のいい商売ができなくなる
可能性もあるのですが、やはりこの言葉が好きです。
私が寝具を扱う理由はこの寝具の歴史を
次の世代に残すためだと思っています。
素晴らしい寝具やその周りにある家具や雑貨。
誰がやろうとも完全になくなりはしないのだと思うのですが
この理念までを受け取っていただける方々と
長くお付き合いができればと思っています。