早いものでもうすぐオープンから半年が経とうとしています。
短い期間の中でも色々な出会いと出来事がありました。
このタイミングで現状のご報告と振り返りをしておこうかなと思います。
実はオープンまでの道のりは長く、約5ヶ月間を準備期間とし
商品の調達から店舗の内装まで、全てのことを交通整理しながら
納期を合わせようやくオープンに漕ぎ着けました。
会社に属していた時は言わずとも裏で色々と動いていただける方が
たくさんいらっしゃって、、そういった意味では
今回は実際にやってみて組織のありがたみが身に沁みました。
その時に初めて開業ということはこういうことなんだと
感じたのを覚えています。
8月のオープンの日から変わらず、毎朝コーヒーを淹れ
植物に水をやり、掃除と検品など済ませ1日がスタートします。
始めの1ヶ月はお知り合い以外のご来店はほぼありませんでした笑
当たり前なのですが、広告やチラシなどをうっていませんでしたし
当初は看板もなかったのでなんのお店なのか。
果たして店舗なのか・・・?
今になって客観的に見るとわかるのですが、
こんな僻地までわざわざ来るわけないよなと今になって分かります。
ただ、過大な広告をうったり大きな看板を掲げたり
したくなかったので、地道な広告宣伝を行いました。
ようやく先月あたりからSNSをご覧いただいたり、
チラシをお持ちいただくなどたくさんのお客様が
来ていただけるようになり店主は非常に感激しました。
何分一人で運営しておりますので、
日によってはお待ちいただくこともあり
ご迷惑をおかけいたしました。
大変申し訳ありませんでした。
商品の提供面では今のところ、
店主1人で切り盛りしていく事のメリットが
お客様にとっても大きいと考えています。
現状はこのままの体制で運営を行います。
お電話に対応できなかったり、
配達で店舗が開いていないなど、、、
イレギュラーもございます。
留守時は留守電にしておりますので着信残していただければ
後からお掛け直しいたします。
寝具の選定のお手伝いは時間を要します。
ご来店前のご予約をお願いいたします。
大変お手数ですが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
店舗の状況はインスタグラムのタイムラインで
共有させていただければと思います。
*Googleマップにも臨時定休のみ反映しています。
10月より2ヶ月間はイベント出店なども行いました。
先輩方のご協力あり、お越しいただいた方とは貴重な体験の共有ができました。
設営から撤収とこれも大変勉強になりました。
またしばらくは実店舗でお待ちしたいと思います。
「なんで寝具屋なの?」とよく聞かれます。
このお店をオープンさせる事になったのは、振り返れば
大学3回生の時に行った合同会社説明会だったのだと思います。
周りは当然のように就活→就職という流れがありましたし、
その時は私も教職の道も視野に入れていたので
就活というものを軽視していたのかもしれませんが
「一生働くかもしれない会社を全体説明で決めることはできない。」
これから中に入って働くかもしれない学生側が
なんで一生懸命メモを取りながら対象の企業に合わせないといけないのか。
今思えば、ただ単にやりたい事が固まっていなかった事もあると思います。
その時は全く分からず、10分ほどで会場から消えた記憶があります。
それであれば自分で選んだアルバイト先(当時3つ掛け持ち)
からお声がかかるまで頑張ってみようと考えました。
一生懸命やったというよりは楽しかったので
どんどん仕事を任せてもらえたということと、
アルバイト先の先輩たちが本当にいい方で
やりたいことをやらせてくれたということもあって
その内2つからお声をかけていただくことができました。
ただ1回もお声をかけていただけなかった
アパレル販売の仕事だけは人よりできないことが
単純に悔しかったんだと思います。
そこで転がり込むように当時は5名ほどだった
小さい会社に就職することを決めました。
アルバイト期間を含めると10年弱、
店舗も増え、フタッフも増えていく中で
厳しい先輩達と優しい仲間に恵まれて濃い時間を過ごすことができました。
展示会では雑誌の中で見ていたデザイナーやスタイリスト。
最初のうちは華やかな世界に見えていましたが、
展示会は実際、バイヤー達が命をかけたバイイングを行っている戦場です。
それを間近で見る事ができ、私もバイイングソルジャーとしての
感覚を植え付けられた記憶があります。
販売員界隈だとよくあることですが、
私も結婚から子供の誕生を機に大きな会社に
チャレンジすることになりました。
在職中は事あるごとに「販売は合っていないので辞めよう」と思いましたが
後々考えると自分に合っていないのではなく
当時は私が人(お客様)の事を本当の意味で
理解していなかったのだと今では察しがつきます。
そうして布団屋にジョブチェンジする訳ですが
ここで働かせていただいた経験が私にとって
天地がひっくり返る出来事の連続で、
体力的にも精神的にも強くなりました。
年間150日以上の国内外出張と、その中での商品開発や在庫管理。
後半は店舗マネージメントもしながら新規出店の責任者も。
睡眠を売っているはずの自分が睡眠不足。。しかし毎日が
驚きと発見の連続で楽しくてしょうがなかったのです。
ただそれだけでは会社は回りません。
いつの間にか人を先導していく立場で自分では「間違っている」
と思う事も「正しい」と公言しなくてはいけない立場になりました。
そこで独立を考えるようになりました。
アパレルの販売から始まり、運良くバイヤーになり、
そこからさらに幸運にもモノだけではなくヒトの
マネージメントにも関わる事ができました。
全ての経験を活かし何が好きか。もう一度考えました。
答えはやはり「寝具」でした。
人より少しだけ好きで、私にできる事がこの寝具だったように思います。
大学生のころから漠然と大きい会社は向いていないのだなっと
感じていた事がいつの間にか確信に変わり、
自分で事業を起こすところまで膨らみました。
そう意味では社会不適合者なのだと感じています。
当店は地方のスーパーマーケットに隣接しています。
ここを選んだ理由の一つが
裏の駐車場からスーパー入り口に向かって
店舗の前をご年配の方が多く通られる事でした。
ご来店いただくと分かるのですが、
大通りからは見えずらく奥まっており
加えて一見何屋か分からない外装になっていますので
入りにくい店舗である事はおそらく間違いないのですが笑
地元の方にも愛される場所になれれば、
その方たちともお茶しながらお話ができるのではと思った事を
きっかけに着座してお話しできる場所を設けました。
同じ時を過ごし、お茶を共にするというのはお互いの
年齢・境遇・立場・損得・歴史・文化・・・・
などなどを捨て、様々な壁をクリアにしてくれる
ストレスレスな世界だと考えています。
特に喫茶店文化が地元に根付いている愛知県は
他県出身者からすると本当に羨ましい文化ですし、
無くしてはならないものだと思っています。
当初はカフェ併設を考えていたのですが
物件の条件面に飲食不可とあったので
当初から断念せざるおえなかったのです。
寝具というものを選んだのも
趣味嗜好に囚われにくく、世代の壁を越え、
毎日当たり前に行っている生理行動の一つ。
これに関わるものとして「寝具」を選びました。
「寝具店」という屋号を掲げておりますので
始めた当初は睡眠に対して不満のある
世代の方が多いのだろうと思っていました。
年齢で括ることが好きではないのですが
布団に関わる事は確かにご年配の方が多いです。
それ以上に20代のお若い方が店頭にいらっしゃる機会もあり、
想定より広い世代の方にご来店いただくことは大変嬉しい現状です。
中には以前に所属していた会社の後輩、
その会社に私が退職した後に入った方などもご来店いただき、
寝具のご相談を受けたり、時には人生相談を受けたり、
こんなことが起こるとは私も想像していませんでした。
元々私は学生の時にお世辞にも
優等生と言える立場ではなかったのですが・・・
「優等生にならなくても大丈夫!
人よりちょっとだけ好きなこと見つけよう!」
という事をテーマに現在では中小企業庁の
教育機関に向けた起業推進活動の講演にも登録をしており、
こんな私の経験でも良ければ登壇してお話をさせていただける
準備をしている最中です。
アパレルから寝具へ。
おおよそファブリックや素材を扱うものから寝具に入っています。
どうしても「素材」に特化した寝具店がやりたかったというのが
今考えても自然だったのだと思います。
ただし本質というのは伝わりづらく
何を本質と捉えているのか人によっても様々。
このテーマはしんどくなるだろうと思ってはいましたが、
中には当店で作成したオーダーカバーのファンになっていただけた方や
天然素材の寝具に興味を持っていただく方もいらっしゃいます。
伝わりにくいものをできるだけ伝わり易く。
店頭でお一人お一人と向き合ってまいります。
本質というところで少しリンクしますが、
「アトマダ」という屋号は私の苗字ではありません。
最近名刺を出すとお名前違うんですねっと言われるので
それはそれで受け入れていただいて嬉しく思います。
造語で考えていたのですが
atomaとはラテン語で「素数」を意味し、
英語のatom=原子の語源であったり、
「素」を指す言葉として用いられたようです。
そのままであると原爆や放射能物質の様なものを想像される方も
いらっしゃるかと思い、なんとなく日本語っぽくなる様に
「ダ」を付けて「アトマダ」としました。
意味はなんでも良かったのですが、
そういった意味が込められているので
素材を大切にする寝具屋として活動しています。
30代後半の私がこんなことを言うのは
おこがましいことかも知れません。
ある程度の年齢になったこともあり、
毎日の体調管理と衰えゆく体とどう向き合っていくか。
これに確固たる答えはないものの、やはり寝具屋である限り
1、「質のいい睡眠を取っていい仕事をする」
2、「できるだけストレスを感じないこと」
(後から発散という訳ではなく、最初から好きなことしかしない)
というルールを実践し、何となく定着し始めています。
現代においては衰えの先にある「死」が遠いもので
テレビの中の有名人が大きな病を患った、他界された、
というニュースに関しては画面の中の出来事であり、
自分に置き換えて考えることも難しくなっているのではと感じます。
毎日生きていることが当たり前で
ある程度の年齢までは死を避けて通ることは当然だと
解釈されているのでは?と不思議になるのです。
ある好きな作家さんが著書の中で
「人は生まれた瞬間からすでに
死に向かってのカウントダウンが始まり、
死に向けて知を得ようとする矛盾を抱えた生き物」
という言葉があります。
その意味を理解するまでに時間はかかりましたが
このいただいた命の炎を何に使うのか。
残された時間でどのくらいを消費させるのか。
最後はどうなるかなど予想もできませんが
今は好きな事だけに使う時間がとてもニュートラルに感じます。
悔いの残ら無い明日を過ごすために
今日も最善の選択を模索していきます。