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2020/01/21 18:29

1月9日〜1月18日までの9日間で
ビラベックの工場見学・ヨーロッパの合同展示会と
現地の寝具屋の視察なども行ってきました。



その様子なども含めご報告させていただきます。

*その間店舗は閉めておりました。
 ご来店いただいた方、告知が足らず大変申し訳ありませんでした。

今回は当店で取り扱いのあるドイツの寝具ブランド「ビラベック」の
日本担当の方から渡欧へのお誘いがあり、二つ返事で行ってまいりました。

初めてのヨーロッパということで要所はアテンドもしていただきながら
途中各都市で寝具店に立ち寄りヨーロッパの寝具背景を深く理解する旅になりました。



ドイツの電車に自動改札はありません。
あっても壊されてしまうからだそうです。
どこからでも自由にホームに出入りできますが、
車内で検札がありますので空いている時間はチェックにやってきます。


乗車券の種類が自転車やペットと同乗など多数あったり、
学生・先生などの教育機関関係の割引がすごかったイメージです。
学生は特に優遇されているようです。

パリのようにスリが多くはないが、置き引きがあるようで、
荷物を置いて離れてしまうと流石に取られてしまうようです。

なぜか現地の人に道を聞かれることが多く、
これはよくあることだと言われました。
すぐに聞くというのが彼らのスタイルのようです。

っとドイツの鉄道事情ここくらいにして・・・

まずはビラベックの工場見学のご報告からすることにします。
製造過程をどうしても確認したかったという思いから
今回の渡欧の中で最大のイベントでした。



私もお世話になっているビラベックのベッドパッド。
日本ではあまり馴染みのない寝具ですが、
マットレスを守り、睡眠の質を高める大切な寝具です。
当店ではイワタのキャメルを含め、
様々な素材のベッドパッドをご用意しております。

ベッドパッドはシーツの中に入れて使用します。
年間を通して使用することができ余分な湿気をコントロールすることで
寝環境を快適に保ち、睡眠の質を改善する機能を持っています。
現在お使いの寝具に乗せて使えるので寝心地改善・不眠解消などに
すぐに使える寝具として当店はベッドパッドを必ずお勧めします。

まずはビラベックのご説明から。
寝具の本場ドイツ国内でも百貨店を中心に取り扱いのある高級寝具で、
羽毛布団やマットレスなども展開する総合寝具メーカーです。
アイテム数は約2000アイテムにのぼります。

1921年の創業からビラベック家の家業として
100年の歴史を誇っています。
場所はブルッフザールの外れにあり、見ていただいてわかる様に
農業・酪農を中心としたエリアになります。
トラックのない時代からドイツ全土に商品供給していたようで
原料の荷受や製品の出荷に使用していた引込み線が敷地内にあり、
現在では使用していませんが歴史を感じることができます。



ブルッフザールに1泊しましたが、ドイツの中でも南部に位置し、
フランス、スイスも近いこともあり、自然豊かな田舎の街という印象でした。

個人としては朝日の差す中、ホテルから見る景色が最高で
教会から聞こえる鐘の音でとても気持ちのいい朝を迎えました。
ドイツはプロテスタントの国で、厳格なイメージがありましたが
聞くと教会に顔を出す方は少なくなっているのだとか。

やはりハム・ソーセージなどの肉加工品は美味しかったですね。



ビラベックはハイムテキスタイルにも出展していたこともあり
そのままの流れで同じ愛知県内のお布団屋さんと一緒に見学に向かいました。
今回案内役をかってくれたアンジェリカさん。
失礼かもしれませんが、このご年齢まで最前線でセールスエージェントを
バリバリこなしていて商品の説明も熱心でした。
ありがとう。アンジェリカさん!



まずは何と言っても彼らの特徴は「素材」そのものです。
マテリアルは数種類ありますが、ウールのご説明のみ。


ロイマインドウール…
うねりの強い剛毛が特徴のウール。自然のスプリング機能を持ち、
薬剤加工されていない原毛そのものを使用することで
ウールの特性が最大限引き出される原毛。
日本でも輸入量の多いオーストラリア産は軟毛でアパレル向き。
通常は塩素で漂白しながら不純物を溶かし、防縮防絨のため
人間のキューティクルの様なうろこ状の「スケール」を全て剥いでしまいます。
これでは放湿・吸湿が行えないウールになってしまいます。
ビラベックでは最低限の中性洗剤と水のみで洗いをかけます。
その為、牧草などの不純物が原毛にそのまま混ざっています。
原毛も黄色がかった原毛そのものの色になります。


欧州各地で取れた原料はコンテナやトラックで倉庫に保管されます。
その際には圧縮されているので保管する前に機械で解していきます。




↑圧縮された素材


↑解しの機械に入っていきます。



解された原毛は500kgづつに部屋に分けられ、保管されます。
その際に活きている自然の原毛は保湿が必要なので
水を撒きながら水分を保たせます。


↑画像はキャメルになりますが、他にもカシミアやヤクなど
 たくさんの原毛が保管されています。





原毛から製品になるまで幾行程かありますが
今回は簡単にご紹介します。


生地を裁断していきますが、ここにある裁断機は3mほどのものも切って
縫製ができるので特注サイズやキングサイズなど。様々なサイズが取り扱えます。
ちなみに日本と海外の規格は違うので、日本輸出品はほぼ特別に生産をされています。



右に写っているマサオさんは日本在住のエージェントですが
この工場に修行として勤めていた経験を持っているので
どの部署に行っても「MASAOOーーーー!!!」という再会の時間、
通称「MASAO TIME」が発動します。


MASAO TIME②


MASAO TIME③

ドイツ語がわかりませんが、みんな「マサオが来てるよーーー!!」
「久しぶりだねーっ!元気かい??」っという調子で
見学よりこっちが気になってしょうがないです 笑
このくだりが少なくとも10回は連続しました。
マサオさんの人の良さが垣間見えました。
まるでみんなの息子の様な。そんな存在だったんだと思います。

・工場内の様子
機械化ができない特注サイズの製造は全て手作業です。
原毛の整毛から縫製、裁断までを全自動で行える機械もありましたが
ここは大手向きの商品が多かったように思います。



↑これはベビーキャメルの合い掛け布団。春夏や秋に使用できる布団で
 当店でも日本規格サイズを入荷することにしました。


これも不織布を巻かない作り。ネットで抑えてキルトステッチし、
通気性を上げながら型崩れや飛び出しを防ぐ作りになっています。
これはあまり日本では見ない作りです。


こちらは検品行程。吹き出しやステッチ糸の切り残しがないかを確認しています。






↓職人が座る椅子にもウールパッドが括り付けられています。
 長時間の作業でも快適に行う為の知恵でしょう。



↑こちらでも椅子にウールバッドが。
 自社商品に思い入れがあるのだと思います。



↑事務所の中にいるのは工場の出荷責任者。
 窓には可愛いイラストも。

↓こちらが2000アイテムを保管し、出荷する倉庫。



↑大忙しの出荷スタッフ

↓私はこの日一番気になった素材。
 まくらに詰めていましたが、ロイマインドウールの粒わた。
 何かに使えそうな気がします。これは考え中です。


↓最後にショールームを見せてもらいました。
 実際にこの日もお客さんがいらっしゃって商品購入していました。
 工場から直営店までが壁一枚という近さ。



さらに南部の都市シュトゥットガルトに店舗があるそうです。
直営店はこの2店舗のみだそうです。


最後にみんなでランチをしてからケルンに向かいます。
カレーなんだかシチューなんだか分からなかったですが
すごく美味しかった!!ケータリングで用意してくれました。
Danke schön!!


最後にみんなで記念撮影。
真ん中の黄色いニットの方が春日井のいとう布団さんのオーナー。
*このあとケルンでお買い物をしたり、とても仲良くなりました。

私は社長の息子、トーマスを挟んでMASAOさんの隣に。
右のお二人は中国のエージェント。
最近では中国の販売に力を入れているのだとか。
世界の勢力図も変わる中、日本も負けてられません。

睡眠は活きる力。
しっかり寝てバリバリ仕事をする。
ポジティブな暮らしにはやりがいと楽しさが必須で、
熟睡は根底からそれを支えるものだと思っています。

お若い方中心に同世代でも仕事や睡眠に
ネガティブな方が多いのでは・・・
みんながポジティブに思える時代がくればいいなと思うのですが
「寝具なんて・・・寝られれば十分!」っとよく言われます。

そういった方にこそベッドパッドは試していただきたい商品です。
私も一人暮らしの若い頃はそう思っていましたが、
寝具の魅力に取り憑かれた今、
その魅力を拡散していくのが私の仕事だと思っています。

「ただ寝ているだけ」の睡眠と、「本当に熟睡する」睡眠。
どれだけ違うものか是非体感していただき、
この寝具マニアに喋らせてください笑

本当に買わなくていいです。
「知ることは知らないことよりも大切」だと思うからです。

例えばヨーロッパは日曜日、店舗などを含めた
商業施設は全て休業になります。
買い物は土曜までにしなければいけません。

日本の様に街中にトイレやコンビニはありません。
特にドイツは公共のトイレが有料です。
1回の使用で120円ほどかかります。
そう思うとある程度1日の予定を決めておく必要があります。

これは行かなければ知らなかったし、
知らなければ日本の常識が当たり前になってしまいます。

日本と違い電車が来る数分前まで入ってくるホームが分かりません。
時間は当然の様に遅れますし、長距離で乗り継ぎもできない場合があります。
日本はサービスの国。それもクレームに支えられています。
語弊はありますが「クレームの国」といってもいいかもしれません。

こうだったらいいのにが先に製品に反映されていたり。
逆に言うとユーザーの自由度は少ないのだと思います。
アトマダ寝具店はユーザーの自由度を優先し、
より原始的で機能利便性の低い商品を扱っています。

彼らの考え「使い方はユーザーに任すべき」という根底が
どこかに根付いているからだと思います。

デニムが縮んだ。ニットが縮んだ。毛玉ができた。
それは当たり前です。自然の素材だからです。
若い時に海外の製品を買って失敗して気付いた経験があります。

現代の日本は違います。
「縮まない様に。」「色落ちしない様に。」「毛玉ができない様に。」
メーカーに先回りされていて本来の素材の持つ
美しさや心地よさが感じられない商品が多くなっています。
したくても失敗ができないんです。感じたくても感じられないんです。
これは「本当の優しさ」でしょうか??

若い時よく先輩からデニムのサイズの決め方、
シェットランドウールニットのサイズの決め方、
こんなことを口うるさく言われました。
最初は「知らねえよっ!」と思いました。
デニムは洗うと5cmは縮むし、繊維の撚りによって捻れるし、
ニットは縮んで毛玉もたくさん付きます。
でも「それが本来の姿でかっこいいんだ」と。
彼らの言うことを理解するまでに数年はかかりました。

実際に欧州では電車が遅れようが、乗り継ぎができなかろうが
駅員さんに文句を言う人は一人もいませんでした。
これは各仕事に対して「プロへの敬意」があるからだと思います。
それが当然でそもそも感じていない可能性もありますが
そうだと信じたいです。

今の日本はどうでしょうか。知らなければなんとも思いませんし、
自分の意に反することがあれば全て不快に傾きます。
「知ること」と「感じること」がなければ本来のヒトやモノの本質。
「本当の優しさ」には気づくことができない構造になっています。
だから実際に自分の手で触れて、目で見て知って確かめて欲しいのです。

これからも私は現地に行くことや工場を見ることを辞めないと思います。
実際に自腹を切って現地に行くことで見えないモノが見える様になったり
触れられないモノが触れられる様になったりするかもしれない。
これは知らないより知っていた方が得だと感じます。

気づくとまたこんなことばかり書いてしまうのでそろそろ終わります。
また次回は他の日程の内容についても書いていきますね。


日程

1/9Thu.    セントレアー成田ーフランクフルト✈︎ ハイムテキスタイル @フランクフルトメッセ マインツ泊
1/10Fri.    ドイツハイムテキスタイル @フランクフルトメッセ マインツ泊
1/11Sat.    ポーランド フランクフルトーカトビチェ移動✈︎ カトビチェ泊 
1/12Sun.   ポーランド @アウシュビッツ オシフィエンチムーフランクフルトーブルッフザール移動✈︎ ブルッフザール泊
1/13Mon.  ドイツ ビラベック工場見学 @ブルッフザール デュッセルドルフ泊
1/14Tue.   ドイツ imm cologne @ケルンメッセ ブリュッセル泊
1/15Wed.  フランス ブリュッセルーランス移動 @ルーブルランス ランス泊
1/16Thu.   フランス ランスーパリ移動 @パリ市街 パリ泊 
1/17Fri.     フランス メゾンエオブジェ @パリ パリCDGー羽田✈︎ 機内泊
1/18Sat.    日本 羽田ーセントレア✈︎ 帰国



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