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2021/02/24 08:00

今年に入ってからは店頭と現場を行き来し、
文を書くペースが遅くなってきています。
おかげさまでこんな世情の中でもあれこれご依頼をいただき
先日は企業様への講義へ出かけたり、新たな販路をご提供いただいたり、
こんな片田舎の寝具屋ですが、おかげさまで忙しくさせていただいております。
この場を借りてですが、感謝いたします。
本当にありがとうございます。

こういった機会に思考の整理のためにも
また文と向き合わなくてはいけないと思い
久しぶりに書き始めました。


最近ある一人の若者と連んで仕事なのか、遊びなのか
とにかく一緒に時間を共有すると言うことをしています。
彼は建築家であり、デザイナーです。

私は専門外なので分からないことが多いのですが、
建築家の中で年齢というのはかなり他業界と異なる様で
40〜50代でも「若手」として捉えられている様ですね。

彼と一緒にいる理由は意識的ではなく
それはただ「楽しいから」と言うのが理由です。
時にビジネスもして、時に趣味に近い依頼もしたりしています。
とにかくできたものを「世に投げかけていこう」=「世に評価してもらおう」
ということを2人で心がけています。

それぞれに売れれば成功なのか、心が満足すれば成功なのか。
たくさんの失敗もありますし、とても難しい問題なのですが
なるべく継続したビジネスに繋がる方法を考えています。

そんな彼が最近一軒の小屋を建てました。



私と同時期に独立をして、今は事務所があった名古屋から
彼の地元である下呂に居を移し活動しています。

そんな彼が依頼を受けた建築はある石材屋さんの「事務所」でした。
最初はプレハブ小屋の様な簡易な建築構造を取る予定だったものを
彼がやらせて欲しいと申し出て、デザイン、設計、施工、引き渡しまでを
たった一人で行うという内容の案件でした。

おそらくこの環境下であったからだと思いますが、
新しい案件も少ない中で彼が選んだ方法は「泊まり込む」
という方法で一軒の小屋と向き合うことを決めたようでした。

先日そんな彼から完成したと連絡を受けて
私が写真撮影を担当させていただきました。



彼は昨年末から取り組んでいたのでおよそ3ヶ月を要して
これを完成させました。私が言うのもなんですが・・・
決して綺麗でもデザイン的でもなく、
ただその環境の中に佇むただの「小屋」なのですが
単純に私はとてもこの建物が好きなのです。





なので画像撮影は私がやりたいと手をあげました。
当然やりとりの中で彼が悩む姿や、必死に取り組む姿を見る中で
私は建築のプロではないので話を聞いているだけでしたが、
彼のキャリアの中でこの作品が後にも先にも作れないものであると確信しています。

建物の評価はその業界の方がすれば良いと思いますし
本当に欲しい方がいるかどうかはわかりませんが、
人間的な所が前面に出たこの小屋に可能性を見ています。

至っては私の生業である寝具が収まるその建物は
人が住まう「家」という構造物ですし、
かのバウハウスはドイツ語で「建築の家」という程、
全てのデザインは家にあるという理念は
ここ最近の私の思想の根元に近くなってきています。





そのやりとりの中で思うことがあり、
彼とも少し話したのですが。

「量産品とDIYと工芸品の違いってなに?」
「我々はどの時点でプロなのか?」という問題です。
最初はこれってすごく面白いねっというくらいの話題だったのですが
最近一人になって考えた瞬間に深い内容だなと思いました。

自身で満足のできる作品や商品ができた時か、
沢山の売り上げを稼ぎ出し、ヒットした時か、
免許や資格を取り、社会的に認められた時か、
多くの人から選ばれる表彰に値する賞を獲得した時か、
はたまたそれを自らが職業を自称した時からか。

これはあくまでも私の考えなのですが、
「その職業だけで生きていけるかどうか」だと思っています。
逆に言うと副業で食べていたり、不労所得があったり、
趣味的にその活動を行っている内はプロではない
ということなのだと心に決めて行動しています。

それは会社員の時から持っている感覚だったのですが、
恐らく世には「自称」という方がたくさんいます。

自称芸能人、自称モデル、自称作家、自称プロサーファー・・・笑
なぜかニュースに出てくる年齢や肩書きを私たちは重視します。
名刺を出すこともそうですし、私に至ってはいつも職業から聞かれます。
やはり何をやっているかというのは世では重要なのだと思います。
(私は自称自営業なのかな・・・)

別に一定の自称◯◯という方を攻撃したいわけではなく、
私がそのプロに完全になれているかどうかもまだ不確定なので
あまり色々と言うのは問題があるかもしれません。

しかし、目指すべきプロ論というのはここにあると思います。
「可能性に賭ける」というのもこのことです。
プロとして誰かの生活に関わり、環境を改善できる可能性。
彼と私はその可能性に惹かれ現在の仕事を選んでいる気がします。
恐らく共に億万長者になりたいわけでもありませんし、
必要以上の生活に憧れがあるわけでもありません。

人の生活に永遠の興味があり、これに関わる仕事をしています。



突然話は変わりますが、
動物がどうやって寝るか。
というと彼らのほとんどは丸まった状態で寝ています。
人が仰向けで寝ることは他の動物と違います。



丸まって寝ない理由としては
「天敵がいないこと」=「外敵から守る家があること」
だと思っています。
その根元を知ろうと竪穴式住居から調べ始めると
とんでもない引き出しを開けてしまったことに気づいたことは
また今度にしておきます・・・笑



話を戻すと、、
彼が作った小屋は竪穴式住居との同じく根元的であり、
その人の仕事や生活を考えた最小限の構造物なのだと思います。

彼の小屋を「ミニマル」という言葉に片付けてしまうのは
もったいないと思うのですが、私も終の家は「小屋」でいいと思っています。
朽ちる素材、なるべく地面に近い造り、木に囲まれた環境。
できればこんな家に住みたいと思っています。

彼の作品のまえで缶コーヒーを飲みながら話していると
やっぱり「これでいいよね」と心の声が漏れた気がしました。

これからもお互いに共鳴しながらプロとして
人の生活に関われるよう、日々勉強していきます。

また彼との共作も少しづつですがアップしていきます。
よろしくお願いいたします。



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