２０２１年ももうすぐ終わりが見えてきました。
どれだけ振り返ってもこの２年間は私の人生にとって忘れることができない、
そんな期間になるのだと思います。絶望と歓喜を繰り返した毎日でした。
本当にお店を閉めてしまおうかと考えた日も２日ほどありましたし、
そんな時に支えていただいたお客様と、緊急事態宣言に伴う自主閉店期間で
たくさんの書籍と映画に影響を得たことでなんとか次の展開を渇望し、
人とコミュニケーションして新しく商品を生み出すことなどで半分はごまかしていました。
そしてこんな状況でも嬉しいことに最近では豊田市の中で
寝具屋としての認知度が少しづつ上がっているようです。
まだまだお客様からのご紹介などが多いものの、HPをご覧いただき
お越しいただく方が少しづつですが増えてきたように感じます。
今回のご相談事例も全くのご新規の方で、お子様の寝具のご相談でした。
ご自宅のリフォームから家族４人で一緒に寝ていた寝室を
ご夫婦の寝室として使用し、お子様はそれぞれのお部屋で一人寝に移行する為に
お子様の寝具を見直したいとのご依頼でした。
ご夫婦の新調される寝具も他のメーカーで決まっているとのことでしたので
１度目のご来店時にはお子様の睡眠に必要な要素や、
寝具の素材についてのお話を中心に少しだけお話させていただきました。
寝具の見直しの際に見落としがちなのは、小さなお子様がいらっしゃるご家庭では
お子様の添い寝にあたってお母様の睡眠負担がかなりのダメージなっていることは
あまり知られていません。毎日の睡眠がリスクとなって症状化するケースがあります。
特に多い例はお子様がくっついて寝ることで「寝返りができない」ということです。
まれに旦那様というケースはありますが、多くのご家庭ではお母様の匂いや
暖かさという利点でお子様はお母様の近くにいらっしゃることが多いので
やはりお母様側に睡眠障害として症状に現れてくることがあります。
今回ご相談頂いた奥様は同じような症状で悩まれていた様でした。
先日お子様が外泊をされたことで「一人で寝ることがこんなにも楽なんだ」っと
再認識されたようで、子を持つ母であれば普通といえば普通なのでしょうが、
育児にあたり何年も本当の睡眠から離れていらっしゃる方が多いというのは
表立って出てくることではないように感じます。
以前から「寝返り」についてお話していますが、
主な寝返りの役割は、、、
①睡眠時、同じ体勢にならない様に筋肉の負担を分担する為
②体から出る汗や水蒸気を乾かす為
という機能を持っています。
１日に２０回〜３０回が正常範囲でそれ以下、またはそれ以上になると
適切な睡眠を取ることができなくなっていきます。
そしてこの条件が毎日続いてしまうと睡眠負債として
体やメンタルに症状として表れることがあります。
俗に言う「睡眠障害」と言われる症状です。
①に関してはコリ・むくみ・痛み・痺れなどに集約されますが、
②に関しては目に見えない、また感じないことが多いので
全く気にされない方もいらっしゃいますが、「蒸れ」が一度発生してしまうと
睡眠の深度が維持できなくなり、毎日同じ時間に目覚めてしまったり
起床時の不快感につながるケースがあります。
まず、人間は動物と違い二足歩行します。背骨と骨盤を屋台骨として
その周りに大小様々な筋肉が付き、自重を重力から耐える仕組みになっています。
これは他の動物に見られるものではなく、人は仰向きで寝ることが体の作りからしても
楽な様にできています。ただしその体勢で８時間を過ごすわけにはいきません。
起きている時を考えてください。８時間同じ体勢で座っていることでさえ
筋肉や内臓に負担がかかる行為です。背伸びしたり姿勢を変えたりしますよね。
寝ている時に体勢が変えられない苦しみは容易に想像がつきますよね。
人間は「寝返り」を行うことで筋肉を交互に休ませるという効果があります。
睡眠中も正常に体位変換し、スムーズに寝返りができる環境が必要になるという訳です。
今回のケースもそうですが、お子様に挟まれ物理的に寝返りができるスペースがない。
ということは実は体にとってはとてもツラいことなのです。
ではいつからお子様は一人で寝れば良いのでしょうか？
店頭でもよく聞かれる質問でもあります。
体格の個人差やご家庭のお考えなどもありますからしっかりとした正解は
ないのかもしれませんが、一般的には４才〜７才程度だとされています。
お子様も成長に伴い体のバランスが変わってきます。
特に頭部の比率が小さくなり、体格がよくなってくる時期が頃合いです。
赤ちゃんや幼児では頭部が大きく、体と同じくらいの大きさがあるので
実はまくらも必須ではありませんし、熟睡する力も強いので全く問題はありません。
小学校に入学してからは少しづつ様子を見ながら一人寝の練習をさせてあげないと
お子さんの成長は止められませんからご両親の睡眠にとっても悪条件になるということです。
今回はまずキッズのオーダーまくらの導入をお勧めしました。
まず自身のまくらを自分で作ることで「この上で寝るんだ」という意識を持ってもらいます。
「そんなことで何が変わるの？」っと思われるかもしれませんが
ゴロゴロ転がり回ったりするお子様がまくらに愛着を持っていただくことができれば
定位置で寝返りしてくれたりする様になります。
今回のお子様方もその例にしっかり当てはまりました。
↑こちらは上のお兄ちゃんの寝具
まくらは店頭で測定した高さをその子に合った内容になるまで
ビーズを計測して入れてもらいます。その際は私もお手伝いします。
高さが合うと最後に枕カバーに落書きをしてもらいます。
好きなキャラクターなどを描く子もいれば、夢を書いたり、
全く意味のないアーティスティックな絵を描く子もいます。
絵はなんでも良いのですが、まずは自分の気に入ったものの上で
寝ることがお子様の睡眠にとっても実は重要なのです。
↑こちらは下のお子様の寝具です。女の子らしいピンクのカバーを選んでもらいました。
軽さのあるコットンニット素材。
通年で使え、肌当たりの柔らかいニット素材です。
お子様は多くの汗をかきますし、見えない水蒸気も同様です。
しっかり水分をキャッチする素材なので睡眠中の爽快感もあります。
羽毛布団を蹴飛ばしてしまう理由のほとんどはこの「蒸れ」からくるものです。
そして、、、
今回私が一番びっくりしたのはご両親の寝具も当店にご依頼いただいたことでした。
すでに決めている寝具があるとのことでしたので具体的に私の方からお勧めはしていないのですが
素材や寝具についての考え方をお聞きいただく中で、全て揃えて欲しいとのご依頼をいただきました。
これは非常に光栄なことと思いますが、すでにお決めになっていらっしゃった寝具屋さんには
少し悪いことをしたなと思ってしまいましたが、こればかりは私の決めることではありませんから
ご依頼があった限りはご家族全員の寝具をしっかりご提案していきます。
旦那様、奥様のベースは同じものとしながら、
上のお兄ちゃんもラテックスマットレスを気にいっていただき、
下のお子様はラテックスライクなウレタンマットレスを選んでいただきました。
ともに柔らかく反発性の高い素材で、筋肉の質感に近いものです。
当然ウールパッドはご体感いただきたいので４人分をご提案しました。
もうこれに至ってはご説明をする必要もないかと思います。笑
まくらと羽毛布団もそれぞれの環境に合ったものをご用意し、
最後はカバーのお色目を決めていただきました。
揃える方もいらっしゃいますが、ご依頼いただいたご家族は
個々の感覚を重んじられるご家庭でしたので全てご本人が好きなものを
多くのサンプルの中から選んでいただき、お色目を含んで全ての条件が決まりました。
ご夫婦のまくらは先に店頭でお作りして事前お渡しし、
当日設置した寝具で調整をかけるものとしました。
奥様はカラーものがお好きなようで落ち着いたカラーバランスの
マスタードにネーブルの枕カバーをセット。
枕カバーは薬品使用のない和晒し三重ガーゼでふわっとした寝心地に。
まくらの形にピッタリ合わせた当店の特注カバーです。
「良い寝具には良いカバーを」
何度も言いますが、寝具はカバーで印象が大きく変わってしまいます。
ただ、良いカバーを売っている店舗があまりにも少ないので
寝具の本当の寝心地良さを知っている方はかなり少ないのです。
ご予算の限られる方はぜひカバー（シーツ）からお買い替えしてみてください。
特に羽毛布団を包む掛けカバーは軽いものでないと意味がありません。
その場合には糸の細い細番手の糸を使用したガーゼやニットがお勧めです。
もう一つは「通気性のよい素材」というのも重要なポイントです。
日本では「寝具を守るもの」という位置づけですが、
実は人の肌に一番近いものになります。
私は諸先輩方から「カバーはお布団のファンデーション」と習いました。
また、素材を選ぶだけでなく、色味や素材感を自分の好きなものにしておくと
毎日目に入るものですから、寝室が好きな空間になっていきます。
寝室は誰に見せるものでもありませんが、目から入る情報の中でも
ポジティブな空間であるべきと考えています。
欧米の方がベッドメイキングされる理由はこれだと思います。
「睡眠」という行為に関係する感覚が全く異なります。
そして、「毎日寝ることがツラい」と言われることが私にとってもツラい出来事です。
そんな方を一人でも救いたいですし、私のできる範囲内で可能になることであれば
毎日やってくる無意識の時間を自身のものに変えていただき、意識的な睡眠を
セルフプロデュースするということが明日の活力に繋がっていきますし、
生産性・効率性を求める社会に変異していくのであれば
意識のない睡眠という時も同様だと強く感じています。
自然の素材で作る寝床でストレスレスな生活を感じていただければと思います。
ストレスの少ない毎日が生み出す世界。平和につながるクリエイティブな活動を。
全ては未だ解明されていない脳の活性領域の拡大につながる実験だと思っています。
今日もそう信じて目の前のお客様の生活と向き合っていきます。
今年もあと少しです。年末年始まで納品のご予約が入ってきました。
ご注文いただいたお客様のお宅には順次配達、設置にあがります。
今しばらくお待ちくださいませ。
納品商品一覧
・ミルフィ ラッテックスマットレス １０cm Sサイズ ￥９３，５００ × ３台
・ビラベック マーブルマットレス １０cm Sサイズ ￥７４，８００ × １台
・ビラベック ベッドパッド Sサイズ ￥３８，５００ × ４枚
・ジムナスト オーダーメイドまくら ￥２２，０００ × ２個
・アトマダ寝具店 キッズまくら ￥４，９５０ × ２個
・RUSKヘッドレスフレーム Sサイズ ￥４１，８００ × ４台
・GORE-tex 羽毛布団 SLサイズ ￥７０，４００ × ２枚
（ハンガリー産ホワイトダックダウン90% 1.2kg）
・オーダーメイドカバー類一式 ￥７６，８００ × １セット
（枕カバー×２枚 掛けカバーSL×４枚 BOXシーツS×４枚）
