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2022/06/09 08:25

季節の変わり目なのか、なんなのか。

体調の不調を訴えられる方が店頭では多く、
特にオーダーまくらの調整のご依頼が増えています。



と言っても当店で販売しているまくらの数は限られているので
平日でも調整が被ってしまう程の状況は初めての状況です。
枕調整で依頼しようかどうしようか迷っていらっしゃる方もいると思いますが、
合っていないままの状況で不調が出てしまうのも後々大変になるので
迷わずご予約していただけると良いのでまずは一度お問い合わせください。

多分に洩れず私も先月あたりでしょうか、強い頭痛が2、3日続いてしまい。
原因はわからなかったのですが、そんな中で土日の営業をしていて。
その日、友人に頼まれていた布団クリーニングの出来上がりの回収に
店舗に来てくれることがあり、いつものように一緒にランチに行くことになったのですが、
こんな体調の悪い日には必ず行くお店があります。

自宅からすぐそこになるのですが、沖縄料理の店がありまして。
沖縄出身のおじいとおばあが2人でやっているお店。
味や雰囲気もさながら、ご夫婦のお人柄がとても好きなんです。

いつもは妻と平日の休日にランチに行くことが多く、
初めて日曜日に行ったのですが、すでに駐車場は一杯。
やはり土日はすごいなーっと思いながら友人に内部の様子を伺ってもらうと、
「もうすぐ食事が終わるので出ます」と言っていただけるご夫婦があって、
すんなり入店することができました。

20坪ほどの店内に、既に3組ほどのお客様がいらっしゃって、
かなり忙しそうなのですが、おばあちゃんはいつも脚が悪くて動けないですし
いつもに増しておじいちゃんもテンパっています。
おばあちゃんは先に座ったお隣より先に私たちにお茶を出したり、
オーダーを先に取ろうとしたり、隣のお客さんもちょっと怒り気味で・・・
なんだかいつもと様子が違います。

ただ、ここで食べる料理がが本当に美味しくて。
家庭的な食事が苦手な方はお勧めできませんが、
ぜひ皆さんにも食べていただきたいほどなのです。

まず初めに出てくるお茶も柿の葉のお茶らしいのですが、
これもおばあちゃんの庭に生えている柿の葉を乾燥させて作っている自家製。
まず出てくるお茶が美味しいですし、セットに添えられる小鉢なんかもそれぞれに
素材が良く、かつ丁寧に味付けされていて。それぞれの食感や風味も最高です。
セットの白飯まで美味しいんですよ。
ソーキそばの出汁もおばあちゃんが一から作っているそうですね。



ことあるごとにおばあちゃんは「美味しい?」「どうだった?」
と聞いてくるのですが、いつも全く同じ説明をしてきます。笑
これもほっこりするので毎度「そうなんだね」っといつものように返します。

料理が出てるまでにも次から次に人が入ってきますが、
そこからの2、3組、入店も断っていて、少し店内の空気が変わっていきます。
その中に車で待つからという男性がいらっしゃって、
しばらくするとまたガラッと扉が開いて、「どのくらいかかりますか?」と尋ねる男性の姿。
おじいちゃんは「まだ一席も出せてないからなぁーあと1時間はかかるよ」っと
言うとちょっと呆れ顔でお帰りになりました。

おじいちゃんおばあちゃんも順番などを案内しているわけではないので
「今一杯だから」とアナウンスをしていると、外で待っている方や
車の中で待っている方がごっちゃになってしまって。
待っている方も少しずつイライラしているように見えます。

私はいつもと同じようにソーキそばのセットを頼むのですが、
作って出すのに精一杯なお二人はその日はオーダーも取るのも大変そうでしたし、
私も効率的に店内を回して早く出た方がいいと思い、おばあちゃんに許可を取って
自分で伝票を書いて渡すと他の席の方にも伝票と鉛筆を回します。
そこからお茶を出したり、メニューや検温する機械を回したりしてお店を手伝っていると。
おばあちゃんが「ちょっと時間かかるけどいい?」と気を遣ってくれて。
私たちも「全然いいよ。ゆっくりやって。」と言います。

ご飯はすぐに食べて出たのですが、お会計の時間もなさそうだったので
ちょうどの金額をカウンターの上に置いて挨拶をして帰りました。
そうするとおばあちゃんが私に「あんたうちなーんちゅか?」と聞きます。
私も顔が濃い方ですし 笑 よく沖縄生まれか?と聞かれるので
「僕は良く言われるけど、広島だよ。」っと返すとちょっと残念そうな顔 。笑

「また平日にくるね」っと言うと
「平日に来た方がいいよ」っと言ってくれてその日はそれで終わりました。

その日も料理に大満足だったのですが、帰りの車で友達とその話になりました。
大好きなお店の中の空気が重たくなるのが嫌だったので、わざと手伝ったり
おばあちゃんと楽しく話をしたりしたけど。やっぱり私はあの空気が苦手だし
好んで高ストレスエリアの中に飛び込んでいくことなどしません。

好きなお店ってやっぱり効率やコストを度外視したお店だし。
予算と時間にそれなりに余裕を持って行かないと行けないお店なんだよな。って思うんです。
それはやっぱりその人が好きなものに対して責任を持っているお店だし、
目に見えて整理整頓されているとかそんな絶対条件じゃなくて、
隅々に至るまで気を張っているお店。そういった類のお店は
好きなものだけを扱っていることはすぐに分かりますし、
自信がないものに関してはやらないというスタンスは潔くて格好いい。
こういったお店から私も勉強させていただいていることが多いです。

これは私の考えなので、スタンダードって訳でもないですし、
これってわざわざ言わなくてもいいことなんですが、、
「お金を払っているからなんでもいい」というのが苦手なんです。

私もいち消費者ですし、今でもその感覚は消さないようにモノづくりしているつもりです。
元々は自分ができないことに対して、その対価としてお金を払って
「できないことを代わりにやってもらっている」と考えています。

取引工場に対してはしっかり利益を残したいですし、
敬意を払ったお付き合いをしていると自身は思っています。
どんなサービスをしているかによって、変わることだとは思いますが、
全てを預けても良いと思えるようなプロがいるってことは、
こんな安心感があるお店(企業)だと思うんです。



私はこのお店の内情まで分かる訳ではないですが、
おそらくもう数年で無くなってしまうような気がしています。
お二人も既にご高齢で、後継者の影も見えないですし、
あんなに人がくるお店でも、土日のピーク時にあれだけ入店を断ってしまうお店が、
料理のコストを考えても大幅に儲かるはずがないからです。
大幅に儲からないお店にはこのご時世、後継者は出てきにくい傾向にあると思います。

どのバランスでやっていくかというのがその人のセンスであって、
私は必要以上に儲けないと決めているお店(企業)が好きなのだと思います。
そんなことを考えながらご飯を食べている時点でちょっと気持ち悪いと
思われる方もあるかもしれませんが、すぐにそのビジネスモデルが
どう成り立っているのかを自動計算するのが癖になっています。。
そこで気付いたのです。

私が好きな価値観はすべて「有限」だということです。

このご時世は「無限」だと勘違いしやすい世になっている気がします。
時間経過という価値観は薄く、人はいつまでも若く健康にあるべきという無限や、
より効率的にコストをかけず、なんとなくの側を保っていれば、
収入はどこまでも伸びてビルはどんどん高くなっていくような。
無限の価値観が溢れているように思います。
大都会の一部では確かにそういう世界もあるのだと思います。

日本の人口が無限に増えていた頃はそれで良かったのかもしれませんが、
しかし、今はそうではありません。
平均年収は減り続け、もはや物価も為替も税率も正常ではありません。
国力と言えばそうなのでしょうが、私は誰のせいでもなく
自分自身のせいだと思っています。国を含めてここに住み、
生業を創るということを今、選択しているのは私自身だからです。
その意味を理解しながら小さな価値観を大切に行動しようとしています。

今あるもの、今残さなくてはいけないもの。
こんなお店がもっと活き活きと活躍できる世の中を作ること。
その為には見て見ないふりをしないことと、
もっと人とコミュニケーションすることだと思っています。
今後どうなるかは分かりませんが、1年、3年、5年、10年先の未来を
考えながら、とにかく未来へ前進させてやりたいことを継続すること。
短期間で終わらせないように努力し続けることだと思います。

その中で今年、新しく始めたことがあります。
これがこの話に繋がっているかどうか分かりませんが、
農家さんにお願いして1年間田んぼを借りるということでした。



田植えから稲刈りまでを楽しんでやろうと決めました。
その為に当店で扱っているミネアサヒを育てる農家さんに
そのことをお願いすると、すぐに「やったことはないけど、いいよ。」と言ってくれました。
当然毎日のお世話ができる訳ではないのでお任せする部分が大半ですが
時々様子を見に行ったり、できることはやらせてもらおうと思っています。



毎日自然に口に入ってくるものに対しての工程がもっと見てみたくなったのです。
子供の頃に祖父の持つ島の棚田にて、手で植えて手で刈るという作業を当たり前のように
行っていましたが、大人になってからはそんなことさえ忘れていました。

プラスして今を生きる子供たちに農作業の過酷さと人間の口に入るまでの過程を
見て欲しくなりました。先日田植えをしたのですがご近所の子供たちに声をかけて
3家族の参加をいただきました。



彼らは小さな頃から規格内に整えられた頭のない魚や、綺麗に切りそろえられた肉。
しっかりパッキングされた土のついていない野菜などしか見てきていないのです。
便利の裏側に隠れて、やはり価値観はこういったところから変わるのだと思います。
「当たり前」のこと。これも価値観です。
当人は気にもかけないことでも、隠れた裏側では人の努力や
見えないおせっかいが詰まっていることも気付かなくなってしまいます。
敏感でいることとは知識と経験に裏付けられた「想像」が大切だと思っています。
他人のことを想い、想像し、気付く能力はこの時勢では不要の概念なのかもしれませんが。



開業から1、2年。こんな状況でデータも読めない状況ですが、
私は実は・・・こんなニッチな業態が3年も続くなんて思ってもいなかったので 笑
今支えてくれているお客様・友人・先輩後輩・家族・生産者。
関わってくれているみなさんには非常に感謝しています。
来る3周年は密かに何か楽しいことやりたいなっと思っています。



そして、友人と行ったそのお店に、実は次の日も行っていて。。
妻が行きたいと言い出したその時に、昨日も行ったことは内緒にしていましたが、
おばあちゃんが「昨日はありがとね」っと言ってくれてバレてしまいました。

でも有言実行で平日にも行ったので、それはそれで良かったかなと。
初めて注文したふーちゃんぷる定食も美味かったなぁー。。
こんな話をしているとまた行きたくなっちゃうな。



もしよければぜひ平日のお昼に行ってあげてください。
みよし市の「やまくま」さんです。




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