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2022/12/31 23:20

もう2022年の暮れ。月日が経つのは早いものです。

この店舗を作ると決めてから苦手なSNSに取り組んだり、
HPを作成したり、その為の写真を撮ってみたり。



2022年の目標は「カメラの性能を理解する」という目標を立てていて。
今までカメラとレンズの性能だけに頼っていた写真も、すべてマニュアルにして撮り、
自分の感覚をカメラに擦り合わせて、アウトプット機能の拡張を図ろう!ということで
少しづつこの『カメラ』という機械への理解を深めるということを密かに取り組んでいました。

しかし、写真についての自身の知識は乏しく、、HPの写真を撮りたいという際に
詳しい方に聞いてレンズとカメラを言われるがまま買いました。
それから2年はなんとなくで誤魔化していたのですが、私らしいものを
なんとか写真で表現できないかとあちこちにこれを持ち歩いています。
私の旅にはカメラは欠かせないものとなりました。




先日アップした和歌山県への搬入の後、そのまま堺市への搬入を予定していて
そのまま直行するのも勿体無いし、折角なら以前から行きたかった白浜の南方熊楠記念館へ寄り納品へ向かうことにしました。

和歌山の山間部から海岸沿いを通って串本に宿を取り、
次の日は白浜を通って堺市に入ることにしました。


*紀伊大島のnagiさんというパン屋で朝食を買い、海沿いに車を止めてコーヒーと一緒に。


今回の納品もしばらく前のことで、、、
この紀行の記録も私のルーティンの中でやれるところまでは一人でやりますが、
今年の後半から新しい寝具の開発や納品にて追いつかなくなってきています。
人を入れれば全ては解決しますが、タイミングとしてはまだまだ先になるのだと思います。
元々、この県外納品は出張費などをいただかず利益を削って行っていますので
自身が思うにはまだまだそんなレベルのビジネスではないですし、今より大胆に大きくしたい訳でもありません。
日々のバランスの中でやれることを一つづつこなしております。アップにラグがあることをお許しください。

当日の朝、少し早く起きて海沿いを散歩してから白浜の南方熊楠記念館に向かいます。
南方熊楠は日本の粘菌学者の第一人者で、約120年前、民間の飛行機もない時代に
アメリカからイギリスへと14年間ほどをかけて世界一周ベースで単身で留学を実現しています。
資料館で見た彼のパスポートの番号も200番代でしたので、
日本から海外に出ることができたのも200人程だったのだと予想します。
その当時で7ヶ国語を操り、彼自身が相当優秀だったのだと思いますが、
同時に変わった経歴を持った人物でもあります。純粋に「人間」というものを謳歌した方だと思っています。
話すと長くなりますから詳しくは水木しげる著の『猫楠』を読んでいただければ良いと思います。

私はこの人物が子供の頃から好きで、いつか記念館に行ってみたいと思っていましたが、
白浜に自体は学生の頃にスキューバダイビングの泊りがけのバイトでよく訪れていました。
バイト中に中々自由な時間が取れないことが多く、今回初めて白浜にのんびり行くことができ
記念館の隅々まで堪能しました。*テキストが多く、かなり時間がかかります。


*有名な南方曼荼羅です。彼の思想が図式化されています。

内部は写真撮影が不可でしたので、写真がありませんがご興味があれば是非訪れるべき施設だと思っています。



紀伊半島の南部は黒潮(暖流)の影響からか亜熱帯の様な自然を持っています。
和歌山市以南は関西圏のリゾート地としてバブル期に大きく切り開かれていますが、
独自の生態系が美しく彼も白浜を離れなかったのは、この生態系にあると思っています。



記念館も鬱蒼とした森の中に隠れていて、彼が愛した自然の中にひっそりと建っています。


岬の先の小高い丘の上に立てられているので、屋上から見える水平線が広く見え、
青い海に白い砂浜、波の音と亜熱帯の植物が相まり自然を堪能できる空間になっています。


白浜でゆっくりした後に和歌山ラーメンをいただき、のんびりと堺市に向かいます。
堺市のお客様は新婚の若いご夫婦で、お二人ともにご出身も岐阜県ということで
中部地方にゆかりのある方からZoomのご予約がありました。
寝具のお話を進めるにあたって、なぜ当店だったのかお聞きしてびっくりしました。
旦那様の上司から私をオススメされたというのです。
堺市と聞いた時にある人物が思い浮かびました。

詳しく聞くとの私の知る人物で、その上司の彼との出会いは20年ほど前に遡ります。
私がまだ20代前半の頃、名古屋市郊外にある洋服屋で働いていた頃の時です。
彼はまだ10代の高校生でバイト代を握りしめてよく通ってきてくれました。
そんな彼が大学生になり、大学院生になったところで店の表のベンチに座って
よく缶コーヒーを飲みながら人生についてお互いのことをぶつけ合っていました。
そして、私がロードバイクにハマっていた頃に彼も同じ様にロードバイクを買い
夜な夜なご飯に行き、銭湯まで入って帰ってくるというツアーをよく行っていました。

そんなことをしていると、彼が院を卒業する際に就職を決めていた地元企業を蹴って
自転車のパーツメーカーであるSHIMANOの面接を受けてみようと思っていると聞きました。
1次、2次と終わり、最終面接で社長面接まで進み、その足で帰ってくると
「社長面接失敗しました・・・」と暗い顔で報告がありました。
ピュアで寡黙ながら何に対しても真っ直ぐな彼が失敗したと言うことは
彼のいい所が伝わったのでは??と思い「多分受かっていると思う」と伝えました。

SHIMANOの研究職は1/2000という倍率だった様で。彼が専攻していたのも樹脂でしたから
そこでは主要な素材でもないので。面接でも「(金属が主なのに)なんでここに来たの?」と
言われたらしいのですが、そのままストレートに合格を掴んで帰ってきました。
受かった時には私も彼と同じ様に喜んで、送別会も他の自転車好きも交えて行って送り出しました。
そんな彼も大阪で結婚して、子供を設けて大阪で生活しています。
そして彼も出世して、私に後輩まで紹介してくれるまでに時間が経ちました。

依頼者のご夫婦も共にその彼を尊敬している様で、そんな彼が紹介してくれる人物なので
大丈夫だろうと最初から何の疑いもなく全てを受け入れてくれました。
スルスルと納品まで決まり、SHIMANOの新婚者専用の社員寮に伺いました。


社員寮なので、あまりネット上に情報は載っていませんし外部の人間がが入ることもできませんから
凄さが伝わりにくいのですが、自転車や釣り具の会社らしく全てのフロアに自転車が直付できる様に
なっていて、社員の皆さんが止めている駐輪場にはずらっとハイスペックの自転車が並んでいます。

芦原太郎建築事務所の設計だそうで、コルビジェのユニテダビタシオンの様に一つの入り口に対して1部屋が
多層のフロアを持った造りになっており、集合住宅ながら沢山の採光が取れる様な仕組みになっています。
実は私の旧友が結婚して入居した際に一度訪れていたので納品の際も「あそこね」となりました。


予算のご都合もあり、ベッドフレームはご自身で準備していただき、
その上にダブルサイズの寝具をご用意させていただきました。


枕も納品の際に調整させていただき、羽毛布団は今お使いの既存のものに専用カバーをご用意しました。



分かりにくいのですが、床材も無垢材が貼ってありおよそ社員寮というにはかなりコストがかかっています。
こういった所に会社の考え方がでるので面白いですよね。離職率は分かりませんが、こういった会社では
人を大切にしている方が多く所属していらっしゃると思いますから彼らも長くお世話になるのだと思います。
会社に愛されて仕事ができる環境というのは全く羨ましい限りですね。


ホテルの様な廊下。


奥様にご案内いただいたのですが、最上階にすらっとした階段があり、そこを登ると、、、


屋上庭園が広がっています。堺市の中でも小高い所にありますから見晴らしも良く
季節のいい時期であればのんびり晩酌でもできそうな場所でした。ここがお気に入りだと伺いました。

実はそこから上司の友人と合流し晩御飯と食べて、大阪湾に釣りに連れて行ってもらいました。



風がかなり強く仕掛けが流されてしまう状態でしたが、ぼーっと身の上話しをして近況の報告をしました。
釣果は私に小さいメバルが1匹と。難しい環境でしたがあの頃と同じ様に好きなことを楽しんでから
男子3人だけで銭湯へ。


そこでは私が彼に聞きたかったGore-Texで使用しているフッ素化合物についての話をぶつけて、
流石樹脂のスペシャリストだけあって、世界の中でのフッ素化合物の動きや流れなどを聞き
大変参考になりました。またGore-Texについては新しく記事を書くつもりですので
彼からの情報を待ってGore-Texの仕組みや現状について詳しくご説明しようと思っています。

後日寝具の調子を伺おうとご連絡した際にも「寝具にびっくりした」とのご報告をいただきました。
ご遠方からのご依頼誠にありがとうございました。

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