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2023/04/01 14:19

昨年のことをずーっと思い出してみると当店においてはコロナ禍においても

2022年は新規寝具設置やオーダーメイドまくらのご依頼が多かったように思います。



今年は木材の価格上昇や、住宅ローンの金利の上昇などのお話が絡んで、
データとしても新築物件の着工数が減ってきていますし、持ち家率も低下している状況。
今後空き家の率は増えても、新築物件の低下は避けられないことかと思います。


*(国土交通省のデータ)


現状の物価高、また円相場が円安に触れる限りは当店のご依頼においても
新規設置での寝具相談の割合より、クリーニングやリフォーム。
既存の寝具に対しての追加のお話などが増えることと予想しています。

必ずそうであるとは言えませんが、寝具の買い替えのタイミングはご自身で判断するのが難しく、
どうしてもお引越しやご新築時、ご出産などの大きなイベントとセットになりますし、
家具・家電のお買い替えと同時になるケースが多いので、そういった条件の中で
当店にご相談があるのだと想像しています。

また、2023年の気象条件としては世界で異常気象が相次ぐラニーニョ現象が
落ち着くとの予想が出ておりますので、気温の高低差が激しくなりにくく、
今年は落ち着いた気候になるのではないかとの予想が出ております。

ここ数年と比べても特に今年の冬は寒かったなという印象がありますし、
題名にある通り、2022の秋冬は特に羽毛布団にまつわるご相談が増えた年でもありました。
そして夏の気温も高かったせいか、今年の花粉は非常に手強い気がしています。。

当店で行っているのはお客様のケース別に、今お使いの寝具と現在の症状。
お住いの地域やご自宅などを含む物理条件を詳細にお聞き取りして
お作りするオーダーメイド寝具を得意としております。

特に羽毛布団は日本の一般的な規格にはない超軽量で通気性の良い生地を
オリジナルで生産していたり、マス目やそのマチ高に関しても
中身の羽毛の質や量に対して細かに工場と打ち合わせしながら
1枚1枚をなるべく不可分ない状態へと仕上げて納品を行っております。



当店ではカバーを含み既製品の販売はありませんので、2週間〜1ヶ月ほどの納期をいただきますが、
お客様のご予算と環境に合った商品をお渡しするように心がけております。

よくお話はさせていただきますが、全てはお客様の健康と「熟睡」の中で起こる
人間が持つ抗体機能や回復能力。またストレス緩和機能を正常化させるのが目的であり、
寝具は他者に見せつけるものでも、華美なものになりすぎるでもなく。
お住いの建物や環境の中に入っても違和感のない仕様にして、
人が快適に暮らす「道具」の一つとしてのご提案を日々持続しております。



一般的な商品と比べて高いと言われることもありますが、なるべく仲介を無くし
工場やメーカーと直契約することと、現在のところ店舗は一人で運営することで人件費を削減しております。
余計なマージンを減らすことで分かり易い価格設定と、利益の正常化に努めております。

これを全て含めて「人の生活の一編をデザインする」という行為なのだと思っております。

前書きが長くなりましたが、昨年秋冬から今年にかけて納品させていただいた一例を
ご紹介させていただければと思います。


①東京都内より羽毛布団クリーニングのご依頼

当店ではご遠方からも水洗いを主とした羽毛布団クリーニングをお受けしております。
全て寝具専門の機械を仕様して、乾燥も平面乾燥機にて乾燥させていきます。
最後に乾燥剤まで入れてくれる念の入れ様は私もびっくりしています。
ご郵送にて送料(ご発送文のみ)をいただけましたら1枚からでもお承りしております。
*詳しくは商品ページをご覧ください。


2枚を小さくパッキングして送っていただけました。
うまく空気を抜き出すことができれば送料も抑えられます。
当店に届き次第開封して奈良の専門工場に送りますので羽毛へのストレスは
最大に減らした状態でクリーニングを行います。
ご返送の際にもなるべく圧縮がない状態でお戻しさせていただきます。



価格はサイズ問わず1枚5,500円税込となります。

ご返送の際の送料は当方で負担しております。
実はほぼ利益がないものになりますが、寝具のメンテナンスの一環として
長くお布団をお使いいただくための大切なサービスだと思っておりますので
こちらはお気兼ねなくご相談いただければと思います。


今回は1枚がシルク混の生地であった為、衣料が主のクリーニング業者ではお断りされたりすることもあります。
当店では動物性の繊維を含む生地であってもクリーニングが可能です。

アレルゲンの除去率は99.5%です。小さなお子様やアレルギー疾患をお持ちの方は
ぜひ定期的なご利用をお勧めいたします。目安は4〜5年に1度。
毎年お預かりしている方もいらっしゃいますが、細かなメンテナンスで汗皮脂などの
有機汚れを取り除くことができれば、生地の傷みを防いで羽毛の吹き出しも抑えます。


②静岡県浜松市よりオーダー羽毛布団作成のご依頼(Zoom相談)

オンラインご予約からのご相談にてお話を進めさせていただく中で
糸や生地にかなりの知識やご経験をお持ちのご依頼者でしたので
私も通常であればしない様な専門的なお話を含めて気を使うことなくお話をさせていただきました。

「熟睡」に向けた環境を作り出す超軽量透湿生地での新規作成をご提案し、
ご家族3人分の羽毛布団をご提案させていただきました。
同じシングルロングサイズの掛けカバーをセットにして納品させていただきました。


SLサイズに対して均等30マスというマス目の数と、
MHキルトという羽毛が移動しにくい加工を追加し仕上げていきます。

気に入ってお使いいただければ良いのですが。
またその評価は今後いただけるものと思っております。
長くお使いいただけますと幸いです。



100番手単子平織り生地 国産バティスト生地 (5×6 30マス)
ポーランド産ホワイトグースダウン1.1kg 
95,700円税込 × 3枚

和晒しひとえカバーSL
6,600円税込 × 3枚


③名古屋市内よりゴアテックス羽毛布団作成のご依頼(Zoom相談)

ある大手の量販店さんでお買い求めになった羽毛布団が軽すぎて寒いというご相談から
お話は始まり詳細をお聞きすると、やはりかなり薄い羽毛布団をお使いであった様でした。
羽毛布団には種類があり、ダウンケット・合いがけ・厚掛け・合わせ(デュエット)と。
その用途や仕様の不明確さから、環境に合わないものを買ってしまったということが相次ぎます。

今回のご相談もその様にお手持ちの布団が何用の羽毛布団なのかもお分かりでなかったことから
起こってしまったことで、冬用の羽毛布団を新規で2枚お作りさせていただくことになりました。



生地は当店オリジナルの白無地の80番手単子サテン生地のゴアテックス生地をご提案。
1.2kgのダックダウンを充填して仕上げていきます。
ダニの入らないダニ対策商品は数あれど、軽くごわつきのないアレルギー対策寝具は
このゴアテックス生地しかありません。

このカテゴリーは経験上、皮膜層が厚かったり、生地自体がポリエステル主体のものが多く
ごわつきもあり、蒸れが起こってしまいものが多いので「熟睡」の環境とは正反対の環境を産むことがあります。
お使いになる方も重度のアレルギー疾患をお持ちだったりするのですが、実際寝てみると
寝れない・・・とSOSをいただくこともあります。
また羽毛や薬剤塗布をしない方法でもありますので、安心してお使いいただけるものです。

カバーも同時にお作りさせていただき、洗い替えを含む4枚を納品いたしました。


80番単子サテンオリジナルゴアテックス羽毛布団(5×6 変則30マス)
74,800円税込 × 2枚
和晒しひとえガーゼ掛けカバーSL
6,600円税込 × 4枚


④東京都内よりオーダーゴアテックス羽毛布団の作成のご依頼(メール相談)

以前よりご贔屓にいただいているお客様より、今回は息子さんの羽毛布団のご相談がありました。
地方で働いていらしゃるとのことですが、アレルギーの症状があって現在ご使用のものが
合っていないのではないかとのご相談がありました。
充填する羽毛についてもかなり良いものを選んでいただけましたので、
長期耐久するグースダウンをご用意させていただき、
本州の一般的な集合住宅にお住まいとのことでしたので充填量は1.2kgに調整。



昨年から始まったこのオーダーゴアテックス羽毛布団の作成は
お好きな羽毛ランクと充填量を指定して作成できるもので、
今まではできなかったクイーンサイズやキングサイズ。
その他の特殊サイズのご要望までお伺いできるものです。



羽毛量を調整すれば厚掛け布団からダウンケットまでなんでも作れてしまうという
かなり便利な仕様になっています。今回はシングルロングサイズのご指定でしたので
通常と同じ仕様にて作成いたしましたが、今後はその様なお問い合わせも増えてくるものと思います。
まだまだ知名度がないゴアテックスのお布団ですが、アレルギーである店主が
自信を持ってお勧めする商品の一つであります。



80番単子サテンオーダーメイドゴアテックス羽毛布団SL(5×6 30マス)
132,000円(税込)


⑤東京都内よりゴアテックス羽毛布団リフォームのご依頼(Zoom相談)

ご相談時にアレルギーを持つ旦那様の為に生地をゴアテックス生地に変更した
羽毛布団リフォームをされたいとのことでお伺いをさせていただいた例です。



お住いの都内のマンションが新しい物件の様で機密性が高く、
寒さを感じることがないということでしたので、全ての条件を鑑みて
300gの足し羽毛をした上で1.1kg仕上げにするという選択をしました。

いただいたものはおそらく20〜30年弱ほどご使用されているものですが、
かなり綺麗にお使いだったこともあり中の羽毛の汚れは少ないものでした。
ただ、仕様年数もあって少し元気のない羽毛もありましたので、足し羽毛は必須とさせていただきました。

よく「足し羽毛をしないで洗浄だけでよい」と言われる方もありますが、
1度使ったダウンが洗って元通りの新品になるわけではありません。
クリーニングの有無やお使いになられる方の汗の量、お使いの環境などにかなり
左右されますのでこればかりは実物を見ないとなんとも言えませんが、一般的には足し羽毛をお勧めします。

全くご使用のないものや。使用年数が少ない状態ではそのパターンに当てはまりますが、
私の経験上、全く使っていない羽毛布団をコストをかけてリフォームする例といえば
サイズ変更に限ってのことですので、やはり実施例としてはかなり少なくなります。

リフォームは分かりにくいことがたくさんあり、ケースによってご案内が異なりますので
まず現物の仕様データと仕様状況と使用目的を教えていただけますと幸いです。


今回お預かりしたものはちょっと特殊です。
クリスチャン・フィッシュバッハ社製(スイス)
羽毛: 産地不明 グースダウン90% 1.3kg
側地: コットン100% 80番単子平織り
(生地はルーペで確認します)


幸いタグが見えましたのでここから大体の情報は取れました。
リフォームの場合、現状と納品後の使用目的やお使いになる対象者の方の
特徴、現状のご不満などをお聞き取りしながらイメージしていくことの方が多いです。


3×4 12マスという仕様で、一般的な日本の専門店では4×5 20マスというのが一般的ですね。
今回はゴアテックス生地になりますので変則の5×6 30マスという仕様になります。
マス目で何が変わるかというと掛け心地です。マス目が増えると体に沿い、空間が無くなりますので
目には見えない使い心地が上がるという訳です。

昔は2層キルトといって温かみが逃げない様なものを追加して作っているメーカーも多かったですが、
現在の住宅条件・気象条件ではオーバースペックになりますし、元々2層にする為には3枚の生地が必要になりますから
かなり重たくなり掛け心地が悪くなってしまいます。最近ではこの2層キルト単層キルトに変更したい
というお客様もありますので、この20年ほどで環境が変化しているということだと思います。


仕上がりはこんな感じです。
見た目としては一般的なモコモコの羽毛布団ではないですが
ちょうどいいを目指すのであれば、こちらの方がコストもかかりませんし、
無駄にしてしまうものも少ない仕様になるかと思います。


⑥東京都内よりQLサイズ新規羽毛布団作成のご依頼(メール相談)

こちらも都内のマンションにお住いの方からご相談があったのですが、
今回特殊であったのはデザイナーズマンションのような打ちっ放しの
吹き抜け2階構造の作りであるということ。1階部から2階部にかけて
ガラス面が大きく取られており、採光に重きを置いた仕様のお住いであることと。
その2階で就寝されているので、冬は寒く、夏は暑いとのことでした。

現在は彼女さんとお二人でお住いであるため、ベッドが大きく、
冬は現状お使いのダウンケットにペンドルトンというアメリカ製のウール毛布を
2枚横に並べてお使いの状況であるということを聞き取りしました。
お部屋の雰囲気はアメリカのAceHotelの様な内装であるとのお伺いをしました。
ウールブランケットは引き続き使用したいとのことだったので、なるべく軽くシンプルな
合い掛け布団を1枚クイーンロングサイズでお作りすることにしました。
まず生地は80番単子のプレーンクロスをご提案。



ダウンはリサイクルダウンも考えましたが、ご予算が5万円ほどとあって、
かなりキツくなってしまうことからダックダウンをご提案しました。
産地指定なしのダックダウンでも作成には6万円弱ほどのご予算がかかることが判明しましたが、
もう一つ上のフレンチダックダウンもお見積もりに加えることとしました。



ご予算ははみ出てしまいましたが、フレンチダックダウンで作成することとなり、
私としても納得のいく非常にバランスの良いものを作成できました。

既製品としては一般的には絶対に売っていないだろうという羽毛布団です。
お客様の環境を想像しながらちょうど良い商品を作り出すこと。
これがオーダーメイドの良さだと自負しています。



お客様からも使用後にお礼のメールをいただき、
大変気に入って使って頂けている様でしたので安心いたしました。

クイーンロングサイズ(210×210cm)
80番単子 平織り生地 コットン100%
フレンチホワイトダックダウン 90% 1.3kg
6×6 36マス 

¥71,500税込
*HPには記載のない商品です。



その他でもご紹介したい例はたくさんあるのですが、
かなり長くなってしまうことから止めておきます 笑

日本の人口が関東に多いことは皆さんも周知の事実だと思いますが、
昨年あたりから関東圏からのお問い合わせが増えている様に思います。
おそらく東京には寝具専門店が少ないからだと思っています。

どんどん店舗が大型化していった80〜90年代、それがモールに集合化し始めた2000年代。
寝具専門店はこの波にのまれて今でも現象の下降の一途をたどっています。
関東圏ではより一層厳しいものです。私の様な地方店に依頼するというのも現代的なデータだと思っています。

恐らくですが、もはやこの稼業を地代の高い都心部でやろうなんて思っている人はいません。
多分都会には相談する人がいないんです。
寝具が好きで素材が好きな私の様な人間が都会では生きていけない。
ということなのではないかなっと想像しています。

何ができて、何ができないのか。
何をやるべきで、何をやらないのか。
それは人それぞれであって良いと思っていますし、
特段どの考えを支持するものでもないです。

私は現に地方の実店舗を選択して、現在も運営を続けています。
やれないことはやれないと言いたいし、やりたくないことはやりません。
ただ、こうやって遠くからでもご依頼がある現状を
非常に楽しく考えて楽観的に波乗りをしている感覚に近いです。

いい波を見つける。
自分の良いと思える場所で。
それは現実でも仮想でもどこでもよくて。

みんなが楽しく暮らせる環境を作るお手伝いをこれからも続けていきます。
ご依頼はSNSからでもメールでもお電話でもなんでも構いません。
睡眠環境を改善させていただくご提案はいつでもどうぞ。

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