私はいつも偶然の世界の中で起こる、波の上に乗って生活しています。
自分にはその意図や意志はなく、いい波に乗っていると向こう岸から
それとなく会いたい人がやってきて引き合わせてくれる。そんな気さえするのです。
今回のことも偶然でした。
昨年の年末だったでしょうか？あるご夫婦が店頭にお越しくださいました。
その際は寝具の相談ではなく、奥様が当店に行ってみたいと言われてご来店いただいたのだとか。
しかし、私には旦那様の見覚えがあって。
あまりこういった際にお声がけはしないのですが、
「どこかでお会いしたことがありませんか？」っとお聞きしたのです。
お二人とも『？？』という感じでしたが、お顔の見覚えどうこうより、
空気感というかなんというか、私にはお会いしたことがある自信がありました。
続けて「どちらからおみえですか？」と聞き、その地域の方で
雰囲気を見ても私の先輩のことを知っていそうなか方だったので
「Aさん（先輩）のことを知らないですか？」とお聞きすると。
「うん。○○くんを知っているよ。」とおっしゃったのです。
そこで察しがつきました。
話は変わりますが、私は大学入学を機に１９歳でこの愛知に来ました。
当時おしゃれという世界に無縁だった際に、ある一人の販売員さんと出会います。
当時は岡崎に下宿しておりお金はなかったのですが、
毎週のように名古屋に出ては地元にはない沢山の服屋さんを見て回りました。
その内に反対側である豊橋の街にも興味がでて、そのうちに豊橋でも服を買うようになりました。
特にお気に入りのお店があり。その店の店長さんはいつも見たことのない
かっこいいスタイリングで店頭に立って、洋服やその背景についての造詣も深く
スタイリング以上にいろいろな興味を私に投げかけてくれる方でした。
その方のおかげで私の世界はどんどんと広がっていきました。
その先輩はもう覚えていないと思いますが、
「そんなに音楽と服が好きならうちでバイトしたらいいじゃん」
っと声を掛けてくれました。いつからか私もそこで働いてみたいと思うようになっていました。
当時はアパレルの世界を天の世界ほど遠いものと思っていましたし、
私の方からやりたいなんて言えた立場ではなかったので跳ねて喜びました。
その人こそ私の先輩であり、この世界に私を引き入れてくれたAさんだったのです。
しかし、そのAさんが続けて言うには「面接に受かったらね」と言います。
私：「え？？面接？？」
先輩：「今からいける？？」
私：「行ってみます。」
先輩：「んじゃちょっと待ってね。すぐに面接頼むから。」
というとある人に電話をかけています。
当時のAさんの上長。その面接をしてくれた方こそ今回のお客様だったのです。
私はその面接をパスしてアルバイトとして入社しましたから、
その方も元上司ということになります。その後Aさんが独立した際に
私もその会社に移籍し、その後Aさんとは１０年ほど同じ会社で働きました。
遡れば移籍をした際にも働いていたお店は別で、私はいちアルバイトですし、
先輩の会社に移籍することに当時は後ろめたさがあって、失礼ながらご挨拶などは
していなかったと記憶していますが、当時は特に怖い雰囲気を持った方だったので（笑）
私も近づきにくく、入社後も忘年会などで一緒になってもしっかりとお話などはした記憶がありませんでした。
それ以来のことでしたので２０年以上経過してもお会いしていなかった訳ですが、
私はその方のことを忘れてはいなかったという訳です。
２０年経つとお互いにかなり変わっていますし、当時は怖いイメージしかなかった
そのお客様が、奥様といらっしゃった際には私の知らない柔らかい雰囲気に変わっていました。
私もそんな憧れの方たちと同じように一人でお店を持つまでに環境は変わりましたし、
それほどに時間の経過というのはお互いの全てを変えてしまうものなのでしょうね。
そして、初めてのご来店からのやりとりで奥様がご懐妊であることを知り、
お子様が生まれて来た際の睡眠環境を全て変えたいとのご相談がありました。
通常、寝具のご相談にはあれこれ私も質問をしますし、
「熟睡」というテーマに関してお客様からも質問が多く飛び交います。
お知り合いに関しては０からお話しはせず、なんとなくをこちらから
先んじてちょうど良い寝具を選定するようにしています。
波長の合う方とはおそらく語らずとも伝わる仲と思っているからです。
通常のご相談ではやはり不足の無いようにお話しますが、
不足があったとしても信頼をいただけていれば、
その説明の時間は他のことを話す時間に費やしたいと思っているのかもしれません。
そうこうしている間にも搬入当日となり、
全ての寝具とお生まれになるお子様の環境を整える道具のご用意をさせていただきました。
中でもお子様のベッドとして購入していただいたものがあります。
羊の原皮をそのまま贅沢に使用したムートンラグになります。
毛の多さは1cm四方内に２〜３０００本を誇るクラスの原皮で。
スプリングラムという羊として一番若々しくいい状態の２歳夏前に収穫された原皮を使用したラグになります。
当店ではチェアパッドとしてムートンを敷いてお使いいただく例が多いです。
ラグといってもいろんな使い方ができるものですが、当店ではベビーちゃんのベッドにもご提案をしております。
しっかり汗を吸ってくれて、調湿調温と抗菌効果もあるムートンは赤ちゃんからでる蒸れを吸湿し、
適温に整えることで熟睡環境を作り出します。
寝具の中でもムートンは「寝具の王様」これ以上にいいものはありません。
今回、それに加えて奥様からある商品についてご質問をいただいておりました。
トッポンチーノという抱っこ布団で、「mu ne me」という商品です。
実はこの商品が作られる際に商品の企画を色々と相談されていて、
その指揮を取っていたのが以前勤めていた寝具会社の後輩でした。
この後輩とは一緒に働いたことがないのですが、私の後任として入社して
同じ部署で同じパートを担当していたこともあり、私が独立後すぐに店頭に来て私も彼女の存在を認識しました。
現在では彼女も独立をしてフリーの商品企画者として活躍をしています。
その第１号となったのがこの「mu ne me」だったという訳です。
彼女が店頭に来た際に、勝手に置いていったパンフを見て奥様が「これってご存知ですか？」と聞かれました。
先ほどの経緯を話すと購入したいとのことでしたので、当店でも取り扱いを始めることになりました。
来る４月２９日からはオープニングイベントも行います。
寝具については桐の無垢材を使用したベッドフレーム（SD）を２台付けたものを導入。
ぴったりとくっつけてしまえばマットレスの間に隙間ができず、
お子様が間に寝たとしてもはまってしまう恐れはありません。
マットレスを置くとちょうどこんな感じですね。
ラテックスマットレスの１０cm（SD）を２枚並べてますのでかなり広い寝具になります。
湿気に弱いラテックスマットレスには必ずベッドパッドが必要です。
湿気を吸い呼吸をするように水分を出したり吐いたりする天然の素材です。
薬剤加工の無いウールは夏でも使えます。
オーダーまくらは現地でご夫婦分２つを作成させていただきました。
いつも思うのですが、ここまでを一人でやっているとまくらを作る作業の写真は
いつになっても撮れません。
当店のまくらには性別があります。女性は小さく薄く、男性は幅広で厚いものになります。
中材も男性女性で少しづつ変えています。やはり体格と筋肉量と質に関して違いがあるためです。
最後にゴアテックス生地を使用した羽毛布団にコットンニットの掛けカバーを合わせます。
下のBOXシーツと合わせて使用するととっても気持ちの良いコンビになります。
通気性がよく軽く、柔らかい肌当たりが特徴の生地となります。
掛けカバーは一般のコットンニット生地の約半分の重さになります。
店主がお勧めするカバーの中でもコットンニットは多用しますが、
これに包まれて寝ると本当に気持ちが良いのです。店主もこのセットで愛用していますが
真冬でも下着１枚のみで過ごしても何も感じ無いほど気持ちの良いものです。
全ての納品を終えてご夫婦と昼食をご一緒した後に、一緒に先輩のやっているお店に行くことができました。
先輩は「なんでそことそこが一緒なの？？」とびっくりした様子でした。
この３人で２０年後このような関係になるとは、、、誰が想像したでしょうか。。
私も当時は下っ端も下っ端でしたからなんだか大人になったもんだと感慨深い時間でした。
今回ご依頼を頂いた元上司のご夫婦にもこんなご縁をいただき大変感謝しています。
お子様が生まれるまでもう少しありますが、元気なお子様がお生まれになることを願っています。
この度はご相談誠にありがとうございました。
設置内容
Billerbeck ラテックスマットレス SD ￥１１５，５００ × ２台
Billerbeck ロイマリンドウールベッドパッド SD ￥４６，２００ × ２枚
桐すのこベッドフレーム SD ￥７９，６００ × ２台
ゴアテックス羽毛布団HWDD93%1.2kg SL ￥７０，４００ × ２枚
オーダーメイド枕(コロン・ミドルベース) ￥２４，２００ × ２個
EstellaコットンニットBOXシーツ ￥１３，２００ × ２枚
パイル＋二重ガーゼ枕カバー オーダーサイズ ￥３，３００ × ２枚
マットレス＋フレーム引き取り ￥４，４００ × １台分
