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2023/05/09 18:29

私は寝具をただ寝るだけでなく「熟睡するための道具」と捉えています。

特に熟睡はヒトが元々持っている自己治癒機能を正常化させ、
ココロとカラダを毎日調整する能力を発揮するものと考えています。



日本人の睡眠時間は年々少なくなり、現在は7時間を切っているとも言われています。
お隣中国の平均睡眠時間は9時間に近い数値が出ています。
経済発展やその内容、政治のシステムなどは違えど、体は同じアジア人です。
私は仕事で彼らと接しながらもなぜこんなにも感覚が違うのだろうかととても不思議でした。

特に日本では若い世代で労働時間が睡眠時間を削っており、先ほども挙げたような
自己治癒機能や抗体機能が正常に働いていないのではと考えるようになりました。
体の回復機能だけではない心のストレスを軽減する役割が睡眠にはありますが、
一般的にはそれも正常な状態では無いのだと感じています。

アフターコロナの中でまた労働状況は変わって来るのかもしれませんが、
資本主義の利益追求型社会に対して自分が頑張れば良いという献身的で真面目な日本人の性格は変わらないのだと思います。



私がこの寝具に興味を持ったのは10年ほど前に自身の怪我によって寝具を買い換えたことから。
怪我以外にストレスの軽減、脳内感覚や体調面などに変化があったことで疑問はさらに大きくなっていきます。
寝具開発で私が得た経験や知識。そして今関わっているお客様との関係のなかで、
最善の寝具を試し、使い続けたことで見えたことを少しづつ店舗に落とし込んでいます。

その上で、寝具の中でも最も役割の大きいマットレス(敷き寝具)のについて、
平常から考えている選定条件というものをお伝えしようと思います。

まず、
1つ目は寝返りを促進させることで筋肉の負担を軽減すること。

そして、
2つ目に上から押さえつけられる力(重力)から人の体を解放し、
就寝中は無意識な筋肉の使用を阻止し、血流を抑制する箇所を作らないこと。

最後には、
人の組成に近い素材でできていること。(天然素材であること)

という条件に掲げています。

しかし、あまりに自然自然というと胡散臭くなっていくのですが、、笑
自然の一部である人間も同じ自然界の素材に包まれて
寝ることが一番の贅沢だと自負しております。



ただし、「これでなくてはダメ」っという言い方はしたくないので
ケースに応じて皆さんの生活環境やスタイルに合わせた提案を行っています。

その中にはそれぞれの趣味嗜好ということも十分にあり得ますし、
当店の商品をゴリ推しするということは絶対にしません。
その上でなるべく軽くお聞きいただけると良いかと思います。


寝具は各社で色んな考え方や機能によって様々な商品が乱立しており、
消費者にとっては毎日違う寝具に寝て試せる訳でもないのに比較対象もなく、
さらに専門性が高く分かりにくい。
また消費者意識としては、意識もない時間のことに興味もない。
そもそも多くの方は自分が何の上で寝ているのかも分からない。
という方が多くいらっしゃるのだと想像しています。


作る側にもすべてがそうだという訳ではないですが、それを逆手にとっているもの多く存在します。
売る側の意図が一方的に商品に反映されているものが多すぎてユーザーの自由度が少ない様に思えて仕方ありません。
私は商品になるべく余白があるものを選び、使い方はお客様に託すということを心がけていますが、
寝具選定のプロとして「寝具について敢えて言うなら」ということを3つにまとめました。



①スカスカのものを疑ってください。

マットレスに大切なのは「密度」です。
店頭でもよくお話ししますが、通常頭上からかかる1Gという重力に対して反発性のあるもので、
人が寝ている間も筋肉の様に柔らかく、体を支えているものでないと意味がない言っています。





また、その耐久性は密度から生まれていきます。比重が高く、密度もあるものは自然と重たくなります。
見た目に「スカスカで軽い」ものというのは言うなればコストが掛かっていないものです。

要は空気を売っているようなもので、詰まっているものに比べて耐久性は低く。コストは安く生産することができます。
ウレタンは見た目が同じでも密度によって素材のコストが操作できてしまうので、
暫定的に使う寝具でなければ、持ったときにしっかりと重いものを選ぶようにしてください。


木材も同じです。比重の重い広葉樹と比重の軽い針葉樹では用途が異なります。
ただ寝具になるとそこは問われなくなってしまいます。

そう考えるとあの寝具もスカスカだし、この寝具も・・・ってなりますよね。。
いくら厚みを設けたところで耐久性や快適性が上がるわけではありません。
これが中身の見えにくい寝具の悪いところだと私は思っています。

あまり言いたくはありませんが、、彼らの狙いはコストダウンです。
生産し易く、利益の取れる商品を作って、どう消費者に良いイメージを植え付けるか。
これ自体が搾取だと私は考えています。

金属製のコイルはどうかというと、同じスカスカですが、素材自体は強く、劣化しにくいものです。
しかし、筋肉の質感という面から見ると硬い金属でそれは表現できないと思っています。

人間の筋肉は柔らかく、反発性の高い素材です。それに近いものを選ぶようにして
人の主幹部である背骨と内臓を守るように考えています。

これは余談として聴いて頂く程度でいいのですが、欧州では電磁波の影響を受けるものを
生活圏に置かない様に配慮するメーカーが少なからず存在します。
担当から聞くところによると、金属製コイルは電磁波に影響を及ぼすと考えているからだそうです。



それとは別の理由で私が海外で出会った寝具メーカーの中には独自にメタルフリーを進める会社もあります。
廃棄の際にかかる環境へ負担の高いものを辞めて、なるべく自然素材を選定しているのです。

また、天然ゴムの樹液から作るラテックスマットレスは紫外線やバクテリアで分解されるので
土に埋めておけば100%自然に戻ってしまいます。合成ゴムを混ぜて生産するメーカーもありますが、
当店では天然ゴム100%のメーカーさんのみとお取引をしているため、より環境に配慮したものになります。

作るときだけのことを考えて楽に簡単にできてしまうものもありますが、
捨てる際に分別の手間にならない素材を選ぶというのも寝具屋の使命と思っています。
少しテーマとは外れましたが、当店でコイルマットレスを扱わないという事には
それなりの理由があるということです。



②水分を吸うものを肌の近くに。

人の熟睡できる環境は数値で決まっています。
なんども言いますが、、「温度33℃ ±1℃ 湿度50度 ±1度」というものです。
もう一部ではうるさいなぁっと言われてしまいそうですが、
快適度数を高めることが人間の睡眠深度に影響し、熟睡と睡眠効率を高めます。

温度が高すぎても低すぎても。
湿度が上がりすぎても下がりすぎても。
熟睡の環境からは離れていくことになってしまいます。

冬は羽毛布団を使いますが、一概に暖かい羽毛布団がいいという訳ではなく。
ただ暖かさが持続する魔法瓶の様な機能は布団には必要が無いということです。

通気性や吸水性の高い寝具を取り入れ、調湿能力のある環境にしなくてはなりません。
「暑くも寒くもない。湿気も感じない。何も感じない環境。」これを作り出すために。
なるべく天然素材を使ってくださいという理由はこれです。



天然素材と言ってもコットンもリネンもウールもキャメルも。
すべてそれに該当しますが、天然素材において一番大切なのは吸水性や保湿性。
特に薬剤で加工のあるものに関しては同じ天然素材でも無垢素材に比べて劣るものが多いです。
表記だけ見て天然素材と安心するのはまだ早いのです。。

寝具はなるべく動物性の素材を使用する方がいいというのも、その数値に従っています。
コットン・リネンを代表する植物性繊維は吸水性はあるものの、調温・調湿能力はありません。
対して動物性繊維は吸水性も高く、ウールやキャメルの様に調温・調湿能力があります。

夏でも冬でも使えるというのはそういった理由からで、夏こそウールを使用して欲しいのですが、
一般的に売られているウールは「ピュアウール」と呼ばれる白く脱色のされた薬剤加工済みのもので
これではスケールという人の髪のキューティクルの様なものが剥がされてしまっているウールになります。
*防縮や毛玉防止のためにその加工をかけてしまうのが一般的です。

しかしこれでは調温・調湿機能が落ちてしまうどころか、
夏には暑いだけで、涼しく快適に過ごせるものではなくなってしまいます。

ヨーロッパではウールは夏も使えると概念が根付いていますが、日本ではリネンは夏。
ウールは冬の素材と決められています。本来薬剤加工の無い素材は通年使えますから、
リネンはコットンより保温性が高いので冬に使えますし、ウールは夏も使えるという訳です。
ただその素材の違いは一見して目に見えて分かるものでは無いです。

話は若干変わりますが、、問題!!

オーガニックコットンは誰のために農薬を使わないのでしょうか?



正解は「生産国に住んでいる人の環境と生活を守るため」です。

当店で扱う商品の中にもGOTS認証という厳しいチェックを受けた製品もあります。
これは農薬問題のほかにもフェアトレードや生産背景にも搾取が無い証として世界で普及していますが、
日本ではあまり知名度の無いものですし、それを知ってお買い物をされる方もまだ少ないように思います。





オーガニックコットンは日本では差別化を図るためのマーケティングにすり替わっていますし、
我々もなんとなく「いいものなのかな?」っという心理が働きます。
そもそもコットンの農薬は水溶性なので、水洗いすれば全て落ちてしまいますから、
それよりも高い濃度で薬物が残された土壌やそこから汲み上げる水を飲む、
生産国の人の生活を守るものであるという事を知っていただきたいという話から脱線しました。。笑
すみません。。

兎にも角にも未洗い・薬剤加工の無い無垢素材を使用する理由は
人間にとって良いものというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、
もう一つには「環境のため」と考えています。

薬品や加工を使ってしまえば効率的に大量に安定生産ができます。
よって、価格も安くなって沢山の人が喜ぶものが出来上がります。



それでいいじゃないか!!っと思われる方も多いと思いますが、
近年懸念されている水の枯渇問題は世界的な人口増化と比例し、
農作物の安定生産のために大量の水を汲み上げてしまう事が問題になりつつあります。

国内にいると分かりませんが、大量に作り大量に売る。
その裏には農薬使用や大量の水の汲み上げが必須になります。
全ては文化度の高い国に暮らす一部の人の利益のためであって、
そこで暮らす人の土壌や水の問題は全く無視され続けています。

ヨーロッパでは一般の意識から、環境配慮型の商品を買う事が根付いています。
アメリカには無い文化ですし、そこに影響を受けて近代化した日本にも当然ありません。
これは歴史の違いと理解していますが、少しでも知ってほしい天然素材の持つ後継問題のひとつです。

その中でも当店で特に気を使うのはベッドパッド(特に中わた)・羽毛布団の生地・カバーの素材です。
肌に近いものはなるべく人の加工がない無垢で、より良い素材を使用する様にしています。
当然お値段のバランスもありますから、その中でも価格と性能のバランスが取れたものを扱っています。



③体温を保つ機能のあるものを。

最後にお話しするのは体温の話です。熟睡とは若干違和感のある内容ですが、
最初に申し上げた人間の自己治癒機能力。心と体の抗体・再生能力を最大限に引き出す。
この話にはあるデータを見たときにそう思ったのです。


アメリカの持っている数字なのですが、統計を取り始めたのが
人種差別が当たり前の時代だったのでこんな書き方になっています。

実は150年前の人の平均体温は37.0℃だったんです。当時の環境では体内での炎症が
多かったのでそのような数値が出ているとの報告もありますが、日本でも同じ事が言えます。
この50年で平均体温が0.5℃も落ちているという数値を見た事があります。

特に表面体温ではなく、内臓の温度。深部体温と呼ばれる体温になります。
そもそも体温はどこで作られているかというと、筋肉になります。
筋肉が消化器官から取り込んだカロリーを熱に変換して、ウイルスなどの外敵と戦います。

毎日体内で作られるがん細胞を食べているナチュラルキラー細胞は、
この体温と密接に関係していて体温が高い人ほど、この細胞が体内で活躍する様です。
要するに体温が低くなると色んなリスクが増えてくるという仮説を立ててここまでやってきました。

その根拠となったのがこの数値です。
体温の低下と反比例しているのが分かります。




人口増はその要因の一つでもありますが、倍率を見ても同じ条件にはなりませんから
発生リスクとしても増えているというのは目に見えてわかる事です。
日本では平均寿命は伸びているのにがんの死亡数は激増している。何が何だか分かりません。

私はそもそも不老不死の力を手に入れたいと思ったことはありませんし、
誰かを死の意識化に置いてビビらせたい訳でもありません。日本の平均睡眠時間はメキシコと同等。
健康に死のリスクと対峙しながらその時を迎える事ができるのは一部の人のみの様ですね。
「長寿だが不健康」という国になりつつあるのだと感じています。

これらは異常数値ですし、睡眠に何かしらの秘密があるのでは無いかと勘ぐり
素材を探す旅に出たり、それを1枚から加工してくれる工場を探しに出たりという活動に
今では身を埋める生活になっています。

常々、私は健康のまま逝きたいと思っていますので、決して死にたくない訳ではなく、
最後のその瞬間まで健康に役割を持って働き、世の中と接していたいという理念を持っています。
全てはデータからと言いますが、数値根拠に基づいて仮説を立てて検証しています。
この数値を見たときに健康や熟睡。睡眠や寝具に関わる仕事をしようと思い立ち
残りの人生を寝具に賭ける事にしました。

関係があるかと言われたらどうかわかりませんが、私の好きな人がこんな言葉を残しています。

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僕は「幸福反対論者」だ。幸福というのは自分に辛い事や心配な事が何もなくて、
ぬくぬくと安全な状態をいうんだ。ニブイ人間だけが「しあわせ」なんだ。
僕は幸福という言葉は大嫌いだ。僕はその代わりに、「歓喜」と言う言葉を使う。
危険な事、辛い事、つまり死と対決する時、人間は燃え上がる。
それは生きがいであり、その時湧き起こるのが幸せではなくて「歓喜」なんだ。

                               岡本太郎
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次の8月で開店から4年になりますが、今更こんな事が抜けていたことに気付きました。。
元々寝具がお好きな方や、健康維持に日常から取り組まれている方も多いので
ご存知の方もあろうかと思い話していなかったように思いますが、
そもそも。ということを少しだけですが書き記しておこうと思います。

毎度言いますが、全ては一般論であってケースはお客様によって様々です。
店頭のご質問で多いのは「私には何が合いますか?」とのご質問です。
ご相談者の生活環境や条件。またゴール設定をどこにするかなどでお話は変わります。

ご不明やお分かりになりにくい事。またご質問などございましたら個別で対応いたします。
お気軽にお問い合わせください。



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