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2023/11/09 08:00

来る11月11日(土)〜11月26日(日)の16日間

私の古巣でもある株式会社Ordinary(稲沢市)の一宮店である
Omnibus(元 Tree People)内にてイベント出店を行います。



このイベントは私の旧友であるMusee des Artsの店長、伊藤からの依頼でした。

このイベントに至る経緯が複雑なので、まず私の来歴をお話ししておきます。
遡るとまだ10代だった学生の頃、私は地元広島から愛知県岡崎に進学で移住してきました。
その頃すでに地元の友達の影響で洋服にずっぽりとハマっていたことがきっかけとなり
名古屋や豊橋のセレクトショップに入り浸っていました。



その頃、現豊川にあるAnalogという店舗のオーナーにゾッコンで、
「愛知にはこんなかっこいいお店があるのか」っと思い大学の授業を抜け出しては
洋服の面白さに触れるきっかけをいただきます。
通い詰めるうちにそのオーナーから「そんなに好きなら働けばいい」と言われ
土日のみでアルバイトを開始してアパレル販売員としてのキャリアをスタートさせます。

その会社で出会ったのが伊藤との出会いです。
年は伊藤の方が上なのですが、私の後に伊藤が入社し、
すでに社会人であった伊藤と会社の先輩たちを交えて昼も夜も
一生懸命に仕事をして、一生懸命に朝まで一緒に遊んでいました。
その意味でも寝食を共にした戦友であり、販売という職を通して
酸いも甘いも経験をさせてもらった仲間です。
私が社員になるにあたって稲沢の店舗運営を任されることになり、
彼が代わりに豊橋店のスタッフとして入れ違いになりましたが、
年が近かったこともあり、私がその会社を退職して寝具のキャリアに変わってからも
親交があり、時々はご飯に行きお互いの現状報告をしたり。
お互いに所帯を持ってからも時々電話をするような仲であります。

私の店舗が移動するにあたって無店舗期間を設けることになり、
それであれば現在彼の管理する一宮のOmnibusで何かイベントをやろうということになり
今回の出店に至ります。以前、本店であるOrdinaryの20周年に呼んでいただいたこともありましたが
今回は二人でたくさんのことを打ち合わせながら企画したものです。



豊田(足助)の仲間も一緒に出店したいということもあって
シューメイーカーのMON Handmade Boots&Shoeの奥村くんと
家具職人のMountain viewの市川くんの作品も同時展示します。



奥村くんには今回のイベントに合わせてサービスブーツを作ってもらい
市川くんには無垢材の額縁(フォトフレーム&アートフレーム)を作成してもらいました。



同時開催として当店でも扱うNychairに協力を得て、
アーカイブの展示や2024年限定モデルの展示・予約会を行います。



また11月25日(土)はオリジナルコーヒーパックを作成していただいている
 MAQUETTE COFFEE SHOPに出店していただき、1日コーヒーの提供を行います。
オーナーの鈴木さんにも終日ご協力をいただき、店内音楽もコーディネートしていただきます。



そしてそして、私の行きつけのカクテルバーである豊田で28年の歴史のある
ロンケーナさんのご協力もいただいて閉店後の19:00〜はMAQUETTEさんの
オリジナルコーヒーとシガー(葉巻)のテイスティング会も実施します。



タバコが倦厭される世でなぜこんなイベントを行うかですが、
これに至っては私の趣味という他ありません。。


シガーの歴史と吸い方のレクチャーを含めて私が主導して行うものです。
近年かなり貴重なキューバンシガー(キューバ産シガー)を私の保管しているものの中から
選んでいただき、飲み物とのマリアージュを楽しんでいただこうというかなり私的な内容です。

ちょっと長くなります、、、
シガーの歴史は深く、1492年にクリストファー・コロンブスが黄金の国ジパングを目指し
スペインから出航した際にキューバ島を発見し、そこでインディアンの吸うタバコを見た際に
それを持ち帰って「喫煙」という文化をヨーロッパに広めました。
貴族階級の裕福な者たちの嗜好品として流行し、その後、紙巻きタバコや機械生産の
ミニシガー、シガリロなども開発され、ヨーロッパからアメリカまで資本を移していきます。

1900年代に入ると葉巻は資本主義の成功者の証として風刺されることもあったことから、
皆さんが思い浮かべるバスローブに葉巻や、マフィアのイメージが強く残っているものなのだと思います。

私とシガーの出会いは先ほど挙げたカクテルバー「ロンケーナ」との出会いです。
ある友人が古くからのお付き合いがあり、このバーに行くことになったのですが
元々お酒もタバコもやらない私が、なぜシガーにハマったかというと。
池波正太郎の「男の作法」というエッセイを呼んでいた際に「葉巻とウイスキーの嗜み方」という
項目があり、いつしか私もそんな大人になってみたいものだということをオーナーに話すと
「そんな流暢なことを言っている暇はない、今からやりなさい」と諭されて初めて火を付けたことに始まります。

その際にお勧めのものを選んでいただいたのがキューバ産の
ロミオ・Y・ジュリエッタ ロメオNo.2というシガーでした。
あまりの美味しさからもう1本いただくことになり、キューバンシガーでは
最高級品のコイーバにも立て続けに火を付けることになります。



そこからです。自然の素材だけで構成された煙を燻らし、
自分だけの空間を作る作業が外界との隔離を計りながらも
柔らかく他者との接点も求める時間を作ることにも気付きました。

そうなってからすぐに葉巻のこと、産地のこと、製法のこと
いろいろな文献を手探りに探し、オーナーの一徳(いっとく)さんに
沢山の資料を並べてもらいながら話す期間が約2年ほど続きました。
自然を構成する土・空・火・水の要素を感じながらも着火して1時間弱は
合わせる飲み物を変えながら楽しむことに夢中になりました。

皆さんが想像するタバコと葉巻は全く別のものです。
言うなればこれも人の営みの中で自然形成された無名の人の技術の結晶、
アート(民藝)なのだと気付くまでに時間は掛かりませんでした。

現在の社会情勢をもろに受けてしまうこともあって、
特にキューバ産の価格は高騰しており、手に入れようとも
どこで手に入れて良いのか、どう楽しめば良いのか分からないものです。
私も全国散々いろいろなお店を回りましたし、大抵のお店では
手に入らないことがすぐに分かりました。

今年に入ってはこれを扱うお店でもなかなか譲ってくれない現状になっています。
そこで最後の機会として私がコレクションし、管理するシガーを放出して
テイスティング会なるものを企画させていただきました。
興味のある方が少ない世界ですので、必要とされているものではないのは分かっていますが、
赤土から取れるタバコの葉の芳醇な香りと、それを熟成し、発酵させて束ねて製品にする。
人の手が関わることで、その旨味を深く炒ったコーヒーと合わせ楽しんでいただける内容になっております。



現在私が管理するシガーも収穫から20〜30年熟成したシガーとなります。
一般のタバコと違い、管理する湿度や温度をミスしてしまうとその芳醇な香りは消え全く別のものになってしまいます。
ワインのように丁寧に扱う技術も喫煙者には求められるものになるので
私もそれなりの失敗と投資を重ねてきました。

ここから数年はおそらく日本では吸えなくなってしまいます。
その際にその理由もお話ししますが、今回はロンケーナから貴重な資料や
シガーも一宮に持って行き、ゆったりとした時間を体験できるものにします。
リラックスチェアでもあるNychairも貸し出ししますので、お楽しみに。

シガーのテイスティング会はご予約が必要です。
メール・DM(Instagram)などでご連絡ください。
2023年11月25日(土) 19:00〜20:00

*コーヒーは無償提供です。(キューバ産シガー 2800円〜5000円ほど)
*定員になり次第締め切らせていただきます。


中村 一徳

資生堂パーラーの流れを組むバー・ロオジエの店長兼チーフバーデンダー上田和男氏が
1997年に開業した銀座TENDERにて同氏に師事。
以降豊田市にバー・ロンケーナを構え、今年で28年目を迎える。
私が尊敬する人生の師の一人でもあります。


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