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2020/02/19 15:40

今回のテーマはいつか書きたかったのですが、
とにかく「容量が重い!」ということと、「難解!」ということもあるので
今まで避けておりましたが、今回はゆっくりとご説明をさせていただきます。

店舗で色々なご相談に乗っている中で季節の移り変わりによって
ご相談内容が変わっていくことも感じる様になりました。



昨年末よりお問い合わせが増えてきている寝具全体の見直しや
またはご新居・転居のタイミングでお買い替えなど。
寝具専門店や布団屋では1年の中でも2月〜4月にかけては
お買い替えや新規導入での寝具のご相談が多くなります。

寝具の見直しご購入の際に一つの目安になればいいかと思い
このテーマで書かさせていただきます。

まず初めに「何から手をつけたらいいのかわからない・・・」
と言われる方が多いので敷き寝具をお買い替えできるのであれば
まず「敷き布団」や「マットレス」の様なベースを決めることです。

体重のバランスは腰が一番重く、

頭    …  8%
肩・背中 … 33%
腰    … 44%
足    … 15%

と言われています。



イラストの様に寝具からすると腰部への負担が一番大きいわけです。
ヘタりも当然腰・背中あたりからヘタってきます。
*前後、裏表などマットレスのローテーションを行うのはこの為です。

長くお使いの寝具であれば腰のあたりを触っていただくと
柔らかくなっていたり凹んでいたりします。
毎日使用する寝具ではこれはどうしても起こりうることです。

以前お聞きしたことのある事例の中では
「使っているマットレスのコイルが表地を突き抜けて飛び出しています。」とか
「20年使っている布団が薄くなったのでもう一枚布団を重ねて使っています。」など
今までにはこういったケースも実際にありましたから
寝具の買い替え時期というのは分かりにくく。。
使おうと思えば20年でも30年でも使えてしまうというのが宿命です。



では「寝具って何年もつの?」という質問をよくいただきます。
価格によりフレはあるものの大体7年〜10年というのが基本です。
ただそれは専門店の商品の中での話であって、
一般的に販売をされている量販店では適応しません。

私もそういった売り場を今でもよく見に行きますが
これでは・・・2、3年持てば良い方かなという商品も存在します。
触れば分かりますが密度が少ないものが多いです。

それでも店頭には「固め」「柔らかめ」などの硬さ表記があるのみ。
限定されたラインナップの中での位置付けなので間違いはありませんが
レベル別に星が付いていたり、硬い柔らかいとか、
高反発だの低反発だの本当はどうでも良いのです。
密度を正直に出してして欲しいなと思いますが叶うことはないと思います。

あっ、話が脱線してしまいました・・・すみません。。
元に戻ります!

まず専門的な寝具に変えたいと言われる方のほとんどが
「まくら」から買われる方が多いです。それは一概に間違いではありません。
正常に寝返りが打てない状況があることで首・肩の周りの筋肉に負担がかかり、
痛みや違和感を感じ易いということもあります。
それは以前の記事を読んでください。




ただ、かなり精密なことを言うとベースの寝具によって
まくらの高さが変わってしまうこともあります。
例えばかなり柔らかいマットレスなどでは頭の重みと一緒に
まくら自体が沈んでしまい、枕の高さを調整したとしても
もはや全く無意味になってくることもあります。
極端に固い寝具などは逆になりますね。

当店でもオーダー枕からお買い上げいただく方が多いので
まくらは当然お手持ちの寝具と同じ環境に似せて作成するのですが、
ベース寝具との親和性が高いためお引っ越しやご結婚など、
寝具を買い替えできるタイミングであれば
是非マットレスなどのベースから見直していただきたいのです。


専門的な寝具に限って言うと現代の日本ではおそらく
スプリング(コイル)マットレスが一番売れているのではないでしょうか。



日本では主に家具屋さんが中心となりますが、バブル期に合わせ
80年代後半〜90年代でベッドを使用することが一般的になり、
布団からベッド文化へ急激に進化が進みます。
以前にもお話しした内容ですが、マットレスの上に布団が敷かれている
という状況もこういった急激な変化の中で起こった事象だと思います。

日本ではホテルなどの宿泊施設でも海外の高級マットレスメーカーが
こぞって有名ホテルなどに導入したこともあり、

マットレス=コイルマットレス
コイルマットレス=高級品



というイメージが深く広まってしまったのだと思います。
コイルマットレスの歴史は深く100年ほど前から開発が激化し、
各メーカーで特色のある機構が生まれていきます。

コイルマットレス=アメリカの文化です。
元々はソファーの構造を流用したものだっと記憶していますが
海外の寝具は固いものが少なく、マットレス自体を2枚重ねるなど
包み込まれる様なふかふかの寝具が好まれる傾向にあります。



彼らの体格は大きく、筋肉量も多く、硬く大きな筋肉が発達しています。
日本人を含むアジア人は小柄で柔らかく細い筋肉が多い為
彼らの様なふかふかな寝具は元々日本人の為の寝具ではないのではないか
と疑問を持ったことから当店の寝具選定は始まりました。

健康維持に格段の努力をされていたり、体重管理や筋力トレーニングなど、
体型維持などに気をつけていらっしゃる方には比較的寝具のトラブルは少なく、
30歳未満のお若い方でも寝具でお悩みの方は少なくなります。

どういう事かというと筋肉の可動域が広く、筋肉量も多いので
睡眠時の体への負担が少なく、どこでも寝れてしまうという事です。
おそらくどんな寝具で寝ても変わらないと言われる方は
健康で柔軟な筋肉をお持ちの方なのだと思います。

近年多いのがコイルの上にウレタン層やラテックス層を配置した
多層型のコイルマットレスが主流になっています。

金属のコイルが並べられているだけでは冷たく感じやすかったり、
硬く感じられやすいので熱を伝えにくい低反発性ウレタンや
ウール・ヤシ繊維など中に閉じ込め、多種の層をもった高級マットレスが登場します。


ただ最初から裏表どちらかにその構造を配置してしまうと
両側が使えなくなりますし、素材別のメンテナンスも行えず、
何か一つがダメになれば結果全てを買い換える事になります。

裏表使える様に同じ機構が組み込まれている事もあるので
消費者からすれば倍の料金を最初から払っている事になりますね。


当店のマットレスはコイルを使用しない
「ノンコイルマットレス」と言われるものを取り扱いしています。

コイルマットレスが嫌いな訳ではありませんが、
扱わない理由としては廃棄の際に解体が大変なことと、
ご説明した通り内部構造物が多種になる傾向にあり、
ヘタったものだけを取り出してクリーニング等のメンテナンス
新品交換などが行えないからです。

コイルを使用しないマットレスであると
日本で売れている商品でぱっと思い浮かぶ選択肢は
ポリエチレン樹脂製のエアファイバーか
ウレタンフォームではないかと思います。


↑ポリエチレン樹脂製エアファイバー


↑ウレタン製マットレス


これはどの寝具屋さんでもおそらく同じ事なんですが・・・
商品名で「◯◯って」どうなの?
っと聞かれるので「良い寝具です」としかお答えできなんです。。

ただ重要なのは使う方の住環境と生活リズム。
それに一人一人異なる体型や筋肉の質、量など。
これによってかなりの差が出ます。
当店ではカウンセリングと称した寝環境ヒアリングからスタートします。

ちなみに前者のエアファイバーは当店では取り扱いしません。
理由は個別でお聞きください。お察しください笑

当店はウレタン、もしくはラテックス(天然ゴム)を使用した
マットレスを主に取り扱いしております。
ウレタンやラテックスの多くは廃棄の際に切って細かくすれば
自治体によりますが、燃えるゴミで捨てることができます。
特にラッテクスに関して言えば全てが天然素材ですので、
刻んで埋めてしまえば2〜3年ほどで分解され土に還ります。

↓これはラテックスの原液採取現場です。

*マレーシアの原木林(当店取り扱いのMilfiの農場です)


*ラテックスのデメリットはコスト面です。
 少しづつ原液を採取するのでウレタンに比べると少し高価です。


ただコイルマットレスの解体は本当に大変な作業です・・・
コイルの飛び出しを防止する素材と金属などの不燃物。
ウレタンと天然繊維などの可燃物を分けていきます。
人の手でしかできませんから雑に行っても
1枚で30分程度はかかります。
これを何枚も・・・ともなると想像したくありません。



これであれば多層構造を一つづつにバラしていき
メンテナンス面でも最初から別にしておけば
ヘタったものだけを交換したり、メンテナンスを行うことができ、
一度に全てを見直すということもないのではと思います。

今お手持ちの寝具を継続して使用したり、付け加えたり
その方その方によって素材を変更することも可能です。
選択の自由度が高く、お使いの環境に合わせ
フィットさせやすいというメリットがあります。

ただ可能性の広さがある寝具は説明が大変なので
大手の寝具屋ではこういったことはできないのですが、幸い当店は私一人のみ。
お分かりにならないことはなんでも聞いてください。



素材で見た場合のお買い替えのおおよその目安

ウレタン  …約7年〜10年
ラテックス …約10年〜15年

*当店で扱う商品に限ってですので
 お手持ちの寝具に当てはまるかどうかは分かりません。
*毎日使うものなので使用状況や体重によってもかなり差が出ます。

寝具の全てが同じ規格になっていれば便利ですが、
それぞれのメーカーには得手不得手が異なり、
特に素材そのものを大切にするメーカーさん達は
製造過程で何を優先させるのかのポイントが一般的な寝具と全く異なります。

そういった事を製品で踏襲するのが当店の役目なので多くの寝具を見続け
その中から性能・価格・バランスに優れたものに限り、
できるだけ天然素材を使用した寝具をセレクトし展示しています。
プラスして湿気・アレルギー対策という側面も考えています。
*湿気・アレルギーに関しては過去のブログをごらんください。

一般に売れている寝具は特徴が分かりやすく、
イメージやブランディングもしっかりしていますし、
有名人の起用などで知名度を保ち続けている商品が大部分です。
それだけに製品性能以上の値段になってしまいます。

当店は真面目に商品と向き合い、無意味な進化していく事だけではなく
素材そのものや、ユーザーが本当の意味で喜ぶ商品を作り続けている
メーカーと協同し、これからも寝具の道具化を図ってまいります。



アトマダ寝具店はオープンから半年が過ぎひっそりと7ヶ月目に突入しております。

最近店頭で「昔からやってるんですよね?」
と聞かれることが多いのです。
私自身はとても嬉しいことと捉えています。

おそらく馴染んでいるという表現が近いのだと思いますが、
この店舗を始める際にお店を作ってくださった方々と、
商品を作るメーカーさんのパワーだと思っています。

私自身も居心地がよく、時々店頭のNYチェアに腰掛け
読書などしておりますと夕方ほどにはウトウトしている時もあるので
それほどに違和感のない空間なのだと再認識しています笑

初めは本当に「寝具店」という屋号だけでお客様に来ていただけるのだろうか?
っと思って立ち上げた店舗でしたが、皆様のおかげで2020年も新しい年を
迎えることができましたし、ご縁でいろんな場所にお誘いをいただき
たくさんの出会いと経験をいただいております。

本当にありがとうございます。
今年もまだまだ新しい取り組みを続けていきます。
最後に。文になるとどうしても読めない・・・という方は
お電話でもメールでもお気軽にお問い合わせください。

最近の納品事例などもUP予定しております。

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