羽毛布団の管理について何度かお話ししていましたが、
この時期多い質問をまとめてみました。
①どうやってしまえばいい?
→羽毛布団は細かくは側生地の素材によって手入れの方法が変わりますが、
一般的なものでお答えします。ダウンは体からでる水分をよく吸います。
まず軽く湿気を抜いて欲しいので、風通しのいい場所で日陰干ししてください。
日向に干したい場合はカバーをつけたまま、午前中だけで取り込むようにしてください。
汗や皮脂が染み付いた側生地に紫外線が当たることによって側生地が痛みます。
ご存知の方が多いので言う必要も無いかもしれませんが、日光ではダニは死滅しません。
干すのであればカバーを付けていただくか、紫外線量の多い
13〜14時までに取り込んでいただくのが良いと思います。
*専用ケースなどにいれて押入れなどにしまう際は
こちらをご参照ください。
②羽毛布団を洗いたいけど、、どうすればいい?
→よくいただくのは「コインランドリーはOKですか?」
ということですが、簡単に言うと捨てても良いものだけにしてください。
羽毛布団というジャンルの特性上、1万円の商品も数十万円の商品も同じ羽毛布団と言えてしまいます。
布団専門でない衣料用の洗浄機械と羽毛布団用の洗浄機械は異なります。
特に衣料用乾燥機(タンブラー乾燥機)は内部の羽毛が傷んでバラバラになって耐久性に劣ります。
ご自宅で洗う場合も同じです。捨てても良いものでお願いいたします。
シルク混生地や特殊な素材など、判断に迷われることがあればご連絡ください。
一般的には4〜5年に1度はクリーニングをお勧めします。
③クリーニングとリフォーム。どっちが良い?
→ケースによってかなり差が出ます。お手持ちの商品とお使いの方のご年齢、性別や
使用期間、使用環境などでも個体差がでますので一概に言うことはできませんが、
生地の破れや羽毛の吹き出しがなければまずは水洗いクリーニングが可能です。
およそ20〜30年以上継続使用で経過している場合はリフォームお勧めします。
長期使用の羽毛は汗や皮脂がこびりつきダマになったり、千切れてボリュームダウンしています。
ダマになってしまった玉ダウンの多い羽毛布団はクリーニングでは戻りません。リフォームになります。
匂いがあるものはそのほとんどが人間が出す有機物が酸化した際の匂いです。
時々「旦那の加齢臭がすごい」とお持ち込みいただくこともありますが、どの個体も同じ匂いがします。
これも水洗いしてしっかり汗皮脂抜きすることで軽減される場合がほとんどです。
*中の羽毛自体が臭う場合はしっかり動物の匂いがします。
羽毛の質、洗浄に問題のあるダウンです。皮膚の一部が混入しているものもあります。
通販系で多いトラブルはこれが多いです。特に安価な商品は表記がないので注意が必要です。
④羽毛布団リフォームってなに?
→中の羽毛を側生地から取り出して直接洗い、同時に生地もお作りして
新しいお布団として生まれ変わることを差します。
お値段はシングルサイズでおよそ25,000円程からお伺い可能ですが、
専門店とするのであれば
こちらの生地程のランク以上のものをお勧めします。
日本では羽毛布団は中身の羽毛の質で見られる場合が多いですが、
寒冷地でなければ羽毛ランクはほとほとで、生地とカバーを変えてあげると
多くの方ではご存知ないですが、毛布がいらなくなるほど暖かくなります。
羽毛の価格は温かさの違いもありますが、耐久性の違いと考えていただければ良いと思います。
詳しくはお問い合わせください。
⑤その他の布団のクリーニングはどうすればいい?
→綿わた・羊毛・合繊わたのお布団はこちらも水洗いが可能ですが、
店頭持ち込みのみとさせていただいております。
送料がとんでもなくなってしまって赤字になってしまいます・・・
どのサイズどの素材も3枚で16,500円(税込)です。
*真綿布団・アイダーダックダウンなどの特殊素材は別途のご案内となります。
⑥ダニはどうすれば死滅するの?
→ダニはどこにでもいます。特にエサが多く、暗く、湿度の高いところ。
特に寝室やマットレス・布団の中には沢山のダニが生息しています。
簡単に言ってしまえば薬剤で抑える他ないですが、当店のラインナップの中に
防ダニ加工の薬剤を塗布した商品はありません。
・定期的にカバーを洗ってエサ(汗・皮脂・毛根・垢)を落とす。
・定期的に掃除機をかける。(普通の掃除機の方が良いです)
というのが良いと思います。
夏場の車の中に放置するという手もありますが、また自動的に増えてきますし
死んだダニをどうやって出すのかが大切なので死滅させた後にクリーニングが必要になります。
兎にも角にも気にするときりがないので、どこかで見切りをつけるか、
薬剤・樹脂塗布以外でダニの発生を抑制する寝具を導入ください。
症状・環境・ご予算によってかなり変わるのでなんでもお聞きください。
⑦掛け布団は季節によって変えなきゃだめなの?
これといった明確な決まりはありません。
エアコンを1年中使用する方などもあるので環境によって異なります。
昔から羽毛布団には下記のような種類があります。
真冬用:厚掛け(本掛け) → 春秋用:合い掛け → 春夏用:肌掛け(ダウンケット)
現在では家屋の気密環境が良くなったこともあって合い掛けがなくなりつつあります。
暖冬化の傾向もあると思います。ただ合い掛けと肌掛けをセットした
デュエットタイプの需要はありますのでお手元のお布団が何なのか見ていただければ良いと思います。
当店では合い掛け作成はほとんど行わず、春秋はその他の
ケット類をお勧めしております。
特にこの時期は何を使っていいのか分からなくなる方が多くご相談をいただきます。
大体4月後半からダウンケットに変えて6月〜9月はケット類に。
10月頃からダウンケットを使用して11月中〜後半で厚掛けのお布団に変えていただく。
というのが通常のような気がします。お好みで使用していただければ良いと思います。
というようにこの時期いただく羽毛布団のご質問に一挙回答させていただきました。
精密に言うとその方の環境と体質などで誤差は出ますので「こんな感じなんだ」くらいに
聞いていただければ良いと思います。
最近はアレルギー体質のお子様に向けての寝具ご相談が多くなっています。
ダニの繁殖しにくいゴアテックス生地の羽毛布団やウレタンマットレスなど。
その他でもご相談をいただければと思います。
聞いてみたいだけなんだけど・・・と言う内容でも構いませんよ。
私が持っている知識や経験で皆様の生活が向上するのであれば本望です。
家業ではない新規の布団屋の店主ができることは既存概念を捨てた
取捨選択方法のご提案と、新しい寝具の可能性の開拓だと思っています。
私の中でもご相談のケースが増えれば分からないことを調べたり、
他のプロに相談したりできるチャンスが経験として増えていきます。
全てはお客様のご依頼やご相談から始まります。
その中から生まれる商品やサービスが本質だと思っているからです。
見栄を満たす商品やオーバースペックの商品をなるべく少なくして
今後も人間の生活に土着した寝具の選定と開発を行っていきます。
よろしくお願いいたします。